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生くる

『生くる』  執行草舟  2010

今、読んでいる途中なのですが、深く共感して先に進めないので書き出すことにしました。人と人との関係、人と自然との関係について書かれた部分です。人は自然から奪ったり蔑ろにすることを当然のようにしていて、人と人との関係も同様になっているように思えるのです。目先の損得ではなく、今あることへの感謝とおかげさま気持ちを持てることが幸せです。いのちはひとりだけでは成り立たないものなので。

以下、引用します。

 礼は科学だと言ったら、多くの人は驚くだろう。だが、礼は厳然たる東洋の科学に他ならない。
 物事の本質を捉えようとする考え方が、科学を生み出した。西洋人は、わからないものを神の手に委ねた。そのため、目に見えるものだけを研究の対象とし、究明していった。その結果、知り得たものを科学と名付けた。
東洋人は、見えるものも、見えないものも区別せずに捉え、究明しようとした。その方法論として、陰陽五行の考え方が芽生え、時間と共に育った。陰陽五行とは、宇宙のすべての現象を陰と陽に識別し、それぞれをまた、木火土金水の五つの構成要素に分け、その複雑な組み合わせによって、物事の本質を捉えようとしたものを言っている。
 東洋では、この考え方が、宇宙、社会、人間、不可思議なものすべてに適用された。このうち、目に見えるものは、そのまま漢方医学や易学、人体構造を解明して作った健康法としての太極拳などになった。その他、政治、経済などの制度を確立する理論的根拠ともなっていたのだ。
(中略)

 中国人はその歴史の発祥の頃からすでに、人間の窺知(きち)し難いものとの、正しい共存共栄の方法論として礼を編み出していた。窺知(きち)し難いものとは、人間同士の心の中、人間と自然との関わり方などを言う。その他、生者と死者とのつき合い方、文化習慣を異にする人間集団のつき合い方、支配者と大衆との関わり方などが挙げられる。つまり、わからないもの謎としてあるものに対して、疑心が暗鬼を生むような人間のもつ悪徳に陥ることなく、平和で幸福な生活を送るために生み出された理論なのだ。
(以下略)

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