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[逆光を見つめる]

曇った日
桃色に染まる
記憶が隠されていく
花が咲き
散ってゆくのを
誰も嘆きやしないのに

僕らは嗚咽する
そして震える手で筆を執る
君から逃げるような
西路を今日も行く

逆光だけだよ
逆光を見つめてもいいよ
信じていてよ
断じて頬ずりを拒まないよ
辺りは血みどろ
重ねてビードロ
目新しいもの
君は今でも
海の下で泣いてるのですか
波間が色を閉ざす

神様を
信じる限り
人の目が隠されていく
だから僕ら
手を合わせるとき
瞼は閉じてと教えられた

黄昏星を
競って示し合うよ憧憬
正体を知ったのが
立ち止まる気分 エピローグ

逆光だけだよ
逆光を見つめてもいいよ
信じていてよ
断じて温もりを拒まないよ
びしょ濡れ枕
私情で熟れた
恥の下塗りを
もう辞めようね
洗い流すことできますか
波間が山を壊す

「愛してる」に携える花は
誰かの日々から千切ったものだ
愛してる気持ちのその実は
君の心さえ千切るとしたら?
愛してるって解らないから
聡明な君は刃を立てて
僕を知り 君を知り

君から逃げるような
西路を今日も行く

逆光だけだよ
逆光を見つめてもいいよ
気づいていてよ
断じて受け入れたことなどないよ
手を繋ぐ時間
アローンな気分
温もりは逆向き
致命的な勘違い
騙し合えるほど好きですか
波間が打ち明ける

僕らは嗚咽する
そして震える手で筆を執る
君を描き終えるために
後ろ姿まで目を逸らさずに

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