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[函館山]

ソトのソトには母なる海が
ウチでカカアが待っている
蝦夷梅雨時は出船汽笛の
香りを浴びて静かな季節

七つの星も連なる夜だ
山を登って見に行こう
僕のふるさと 少し寒そうに
君は頷いてチケット握る

時を超えて 空を超えて
何をおいても見逃せないさ
函館山
海を越えたの 山を越えたの?
行きはよいよい 登るがいいさ
函館山

船頭親父は見栄っ張り
あれやこれやと奢って歩く
静かな嫁を困らせている
居ても居なくなっても 今でも

ひとつ目星を探してみたら
あれもこれも滲んでしまう
微笑む君に参ってしまう
「向こう」と指さして言葉を濁す

つれない季節が昔になっても
役目を果たす旗はただはためく
出稼ぎ帰りの汚れたコートに
ファストファッションより早く飛びつけ

ダメだった今年が去年になる頃
汽笛を鳴らす年の瀬の闇夜の船
灯りを二人数え見下ろすとき
夜風は後ろめたい味がする

時を超えて 空を超えて
何があっても忘れないのは
函館山
海を越えたの 山を越えたの?
行きはよいよい ウチに帰ろう
函館山

時が過ぎて 空が過ぎて
何かを見過ごしたの
もしや歴史なの
海を語って 山を語って
何も騙らないでいて
もう変わらないで

函館山

時を超えて 空を超えて
何をおいても見逃せないさ
函館山
海を越えたの 山を越えたの?
行きはよいよい 登るがいいさ
函館山

かえれない今年を飾り付けよう
汽笛を鳴らす年の瀬の闇夜の船
灯りを君は憶えておいて
たとえ僕すら覚束なくとも

つれない季節をいくつ数えても
君や僕のように影を落としても
灯りを僕は憶えておくよ
「向こう」に星が ほら

時を超えて 空を超えて
何を僕らと繋いでくれるの
函館山
海を越えたの 山を越えたの?
行きはよいよい どうかご無事で
函館山

…よい ウチに帰ろう
函館山

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