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[君の幸せ、願うだけ]

夏を大事にしまうには
秋が長すぎたかもしれないね

眠れるはずもないな
シングルは一人のために
懐かしい歌を口ずさんで
僕は君を忘れない

結露が伝うように
表面が歪むように
視界が滲んだなら
終わりのしるし

子供に見ていてごめんね
色も女も移ろうならば
コミュターレイルの最先端で
君は時代をつまびく

雪崩が崩れるように
水面が砕けるように
世界が弾けるほどの
終わりのかなしみ

春まだ来と言うには
冬は序章に過ぎないね
きっと疲れてしまったのだ
君は薄氷はくひょうのよう

師走を迎えて冷えた風
皺寄せ詰まって消えた恋
シングルが擦り切れるまで
君の幸せ 願うだけ

眠れないまま午前四時
ジングルの近づく頃に
金縛りのような恋
僕は何を待てばいい?

一層大事に握ってしまう
指輪 僕は弱いんだな
君よりずっと弱いんだよな

彼方へ飛んでおゆき
旅路を二度と踏むんじゃない
さらばと口にしなくても
終わりはいつもそこに

夏を大事にしまうには
秋が長すぎたかもしれないね
季節はゆるりと巡り行き
邦では標雪しるべゆき

耳も塞ぎたくなるけど
テレビを消す気も起きないな
朝ぼらけ ニュースは風邪気味で
君の幸せ 願うだけ
シングルが擦り切れるまで
君の幸せ 願うだけ

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