[アボカドの季節]

「へぇ、アボカドって、色んな季節に収穫されるんだ」
「そうなんです」

みかんとりんごを並べておいて
冬のこたつに　みかんだよな
みかんとりんごを並べておいて
どっちも結局　美味しいんだな

21世紀のニュートン力学
アボカドみたいに甘くまろやか
にわか　足元に落ちてこっちを見てる
だけど僕は未だにさわれないでいる

悲しい金縛りなんて知らない
風が流れてゆく方なんて見てない
変わることを怖がる暇などなくて
だけど僕は二の足を踏んで仕方ない

凍える季節なんて知らない、そんなの
どうせ寂しいと死んじゃうでしょ
人間は

子供心　古代の飼い犬みたいに
僕は君を見守っていたい
子供心　古代の飼い犬みたいに
君は僕を従えていて

得意気な言葉で語る月とか青空
息もできずに放り出されたら
いいのにな

一を知っても九は見えない
十掴むころ百に増えてる
繋がるイトの指数関数
だけど時折、故郷を思い出しては…

（赤黒く腫れた種実をただ　
僕だって向きを変えてみれば
干からびて割れた肌身が
初めて触れた空気を吸い込んだ
赤黒く腫れた種実　未だ
砕けたこともないと思うのは
見えないものは
　見えないね、と目を開いた）

21世紀のニュートン力学
アボカドみたいに甘くまろやか
にわか　足元に落ちてこっちを見てる
見てるってわかる　不思議ね

もしも無限大があるとしたら
同じ場所で何度も出逢い直したい
もしも無限大があるとしたら
数えながら一緒に死にたい
もしも無限大があるとしたら
もしも無限大があるとしたら

終わりとか季節なんて知らない、そんなの
焦っても　らなくても死んじゃうんだから
有限だ

アボカドの季節を僕は知らない
アボカドの季節を僕は知らない