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日常的郷愁メドレー(歌詞まとめ)

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早いとこ曲をつけてあげたい
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#大阪

[里を知る]

ワンルームにて 極寒の地 夜更けの雪は降らずとも やかんの湯気は冬の色 邦を忘れた逸れ者 すまなかったと独り言ち 寂し寝 夜伽の宿をこしらえる 詰められた毛布 心遣いは 記憶に揺らめく日々の忘れ物 何故 故郷を発ち 世を嘆くのだ 時知らず 今年も里帰りは 茶色の小箱 便りの印 明かりを見て あなたのフォルムに緩む頬 揃いのコート 指輪一つ 邦の予報と比べつつ 瞬時に透き通る東西の街 されども霞むは奥羽越の道 北前の船の出し湊を 北摂の丘から静かに望む 風が運んでくる

[サンライズ・未練(仮)]

西日本一 ガラス張りの メトロ迷路 解けないままで 午前零時半過ぎの 片道限り 夜をゆく ホーム11 クリーム色の 夜行列車は 闇に溶けたがる 停車時間は二分だけ 逃してしまいそうだな 逃してしまいたい、かな? 旅に出るんだ この街に用はないから 旅に出るんだ 来た道を戻る旅 この宇宙一 信じた恋は 暮れの雲行 闇に溶けたらしい 僕は太陽を追わない 永遠に明けない夜だとしても いっそ半世紀も遡れば もっと深い闇が横たわれば 別れの理由は当然で 思い出だけが証明で 旅

[Blue Sky Screen]

気まぐれに上った 丘の上 少しだけ背の高い 草をよけて 竦む崖の岩 そのギリギリまで 地平は霞まずに 見晴らして 郊外から都心へと 空の下 溺れそうなビルを数える 新しい夏の景色と あの日を切り貼りながら 描いた絵空事を 風が攫ってゆくような 見知らぬ人々の暮らし渦巻く この街の僕に生きがいひとひら 瑞々しい青空が スクリーンだったら 光の速さ あなたの 一瞬きりの 想いを ああ 見つけられるかな しなやかなあなたの手 追いかけた夏を 年月に流さないでと 一羽のアゲハ

[理路整然な別れ話]

食堂でごはんを食べよう 帰る前にお皿下げよう ちょいと若人 箸の箱はあちら きちんと分けて片付けよう 中央環状を走ろう 坂道 自転車で飛ばそう 千里インター 路肩行けそうにないな 駅の方の道に折れよう 掛け違えた朝の ボタンのような僕ら 今から直すのも 遅くはないさ 瀬をはやみなんて甘え 言わずに僕ら 理に生きよう 別れよう チェコスロバキアを見習おう 平和な離婚に学ぼう もとよりいささか無理のあった話 血を流さず巻き戻そう 分けるべきもの弁えよう 仲良しこよしが理想

[糸結び]

私鉄線の電車を降りたら 北の方から風が吹いた 頬擦る膠粉が痛くて 知らない香りの師走の空 離れても太陽は同じなんて ありきたりな慰めの証明 求めるほどに寂しくなって 俯いて写真に問う 生きがいは何処へ 宛てのない不安な日々も たゆませちゃいけない糸がある 指にしっかり結んでおいてと 君はいつか言っていたね 目に見えない君の言葉に 縋りたくなって、でも捨てたくて それでも舞い散る枯れ葉の渦に 急かされて家路を急ぐんだ 今はち切れそうなこの糸を 握っていてくれるのは誰