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記事一覧

なぜ博士は水爆を愛するようになったか――キューブリック『博士の異常な愛情』につい…

上  そのタイトルと宣材写真から連想されるものとは異なり、博士は物語の中盤までまったく登…

和泉惣平
1か月前
2

偏在する母、遍在する家族――映画『誰も知らない』について

1  この作品は、実際に起こった育児放棄と取り残された少年による兄弟の殺害・死体遺棄事件…

和泉惣平
1か月前
3

汝自身を演じよ――アッバス・キアロスタミ『クローズ・アップ』について

 舞台はイラン。不可解な事件である。ある青年が、国民的な映画監督マフマルバフを騙って、あ…

和泉惣平
2か月前
5

Cool Design, Cool War――映画『ソーシャルネットワーク』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。  マ…

和泉惣平
2か月前
4

不本意なる英雄——映画『タクシー・ドライバー』について

 トラビスは日記を書く。彼は言葉を持っている。しかし彼は想像力に欠ける。直情的に振る舞う…

和泉惣平
3か月前
6

都会の実存――映画『SE7EN』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。  連…

和泉惣平
3か月前
1

彼は如何にして印度國民となりし乎――映画『RRR』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。 圧巻の舞台装置、映像効果、大迫力のスタントに、インド映画的な歌と踊りで迎える大団円― インド映画史上最高額の制作費を投じて制作されたこの映画は、それに見合う以上の完成度を持った、巨編に仕上がっている。誇張でなく、インド映画の粋を見た、と感じた。  ところで、この作品は、英雄的な主人公たちが活躍する叙事詩的な物語でありながらも、また一方で、観る者に帝国主義と国家主義というきわめて近代的な問題

とまどう狂信者――森達也『A』について

A とまどう狂信者1  なぜ、オウム真理教・広報部長の荒木は、一連のオウム真理教によるテ…

和泉惣平
5か月前
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なぜゴダール映画のカップルはみんな「ああ」なのか――アニエス・ヴァルダ『ラ・ポワ…

1  アニエス・ヴァルダ監督『ラ・ポワント・クールト』は、1955年公開のフランス映画である…

和泉惣平
4か月前
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