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映画感想文

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「悪は存在しない」のか?――映画感想文

 高橋が死ななくてはならないのは、自然と人間の接触を見えないようにしようとするからである…

和泉惣平
1か月前
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なぜ博士は水爆を愛するようになったか――キューブリック『博士の異常な愛情』につい…

上  そのタイトルと宣材写真から連想されるものとは異なり、博士は物語の中盤までまったく登…

和泉惣平
4か月前
3

偏在する母、遍在する家族――映画『誰も知らない』について

1  この作品は、実際に起こった育児放棄と取り残された少年による兄弟の殺害・死体遺棄事件…

和泉惣平
4か月前
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汝自身を演じよ――アッバス・キアロスタミ『クローズ・アップ』について

 舞台はイラン。不可解な事件である。ある青年が、国民的な映画監督マフマルバフを騙って、あ…

和泉惣平
5か月前
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Cool Design, Cool War――映画『ソーシャルネットワーク』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。  マ…

和泉惣平
5か月前
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不本意なる英雄——映画『タクシー・ドライバー』について

 トラビスは日記を書く。彼は言葉を持っている。しかし彼は想像力に欠ける。直情的に振る舞う…

和泉惣平
5か月前
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都会の実存――映画『SE7EN』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。  連続殺人犯ジョン・ドゥは、自らが選ばれし者たることを僭称し、神に変わり七つの大罪を犯したものに裁きを与えるという大義のもと、街の人々を周到に、陰惨に殺害していく。  とりあえず、彼の言うことをいったん認めるとしよう。彼は、七つの大罪を犯したものを裁く神の使徒であるのだと。  しかし、そうであるとしても、彼の計画は破綻していると言わざるを得ない。ひとまず、彼が5人に裁きを与えたところまで

彼は如何にして印度國民となりし乎――映画『RRR』について

*この記事は以前のアカウントで公開していたものを、書式を改め、再公開したものです。 圧巻…

和泉惣平
6か月前
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とまどう狂信者――森達也『A』について

A とまどう狂信者1  なぜ、オウム真理教・広報部長の荒木は、一連のオウム真理教によるテ…

和泉惣平
7か月前
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なぜゴダール映画のカップルはみんな「ああ」なのか――アニエス・ヴァルダ『ラ・ポワ…

1  アニエス・ヴァルダ監督『ラ・ポワント・クールト』は、1955年公開のフランス映画である…

和泉惣平
6か月前
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