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再建術後11日目:退院

退院の日は、生憎の土砂降りの雨。それでも、退院の日の朝は、私にとってはウキウキです。最後の病院食である朝ごはんを食べ、身支度を整えます。退院前には、入院最後の診察があります。

午前9時半頃、病棟内の診察室へ呼ばれました。担当医の先生が、創の具合や再建で出来上がった乳房の様子をチェックし、5分ほどの診察で終わりました。

診察室を出る間際、先生が「これで、乳房再建の最大の山場を終えたことになるから。何事もなく無事に退院できて良かったね。」と言ってくれました。その言葉に、とても安心感を覚えたのは言うまでもありません。

病室に戻り、窓の外を見ながら、家族の迎え待ちました。午前10時に家族が迎えに来てくれたので、お世話になった看護師さんたちにあいさつをして病棟を離れていきました。

病棟から外来棟へと向かい、正面玄関までゆっくりと歩いていきます。ゆっくりといより、トボトボ、ヨボヨボ歩きます。

時が止まっているかのように静かな病棟とは違い、外来棟には時が流れ人々の活動を感じられます。病棟と外来では、こんなに雰囲気が違うのかと思いながら正面玄関に到着しました。

正面玄関の車寄せには、送迎の車や人々が行き交います。病棟でのんびり過ごしていた私にとっては、目が回りそうなスピード感です。

社会生活とは、人々が忙しなく日々を送っていくことなんだと改めて感じました。病を抱えた人々が集まる大学病院の玄関でさえ目まぐるしいスピードで人が活動しています。病院の敷地を出た後、私はちゃんと元の社会生活に戻れるのか少し不安も出てきてしまいました。

そんなことを考えていると、家族が車寄に愛車を寄せて私をピックアップしてくれました。

そして、退院後、まず、したかったことを遂行してもらいました。

それは、味の濃いお昼ご飯を食べることです。近くのファミレスによって、ランチを食べました。

病院を出る時、社会のスピードに順応できるのか心配していましたが、ファミレスでランチをしたら、そんな心配は必要ありませんでした。

退院時の私の活動スピードは4分の1倍速ととってもスローです。でも、私の食い意地が、活動スピードを上げてくれたのです。

時間はかかってしまうかもしれなけれど、確実に、社会生活への復帰はできると確信したのです。体力の回復、精神の回復に”欲”は大事な要素のようです。


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