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日記を本にする。本作りの現場から

こんにちは、デザイナーの堀野美雪です。
今回は本作りの現場について書いていこうと思います。

デザイナー以外には馴染みがないと思いますが、書籍や作品集、カタログ、会社案内などページもののデザインのことを”エディトリアルデザイン”と言います。

結構いくつもやっていたのですが、今回はこちらの書籍の制作に携わった時のお話をしていきます。↓

著書である小松美帆さんが毎日つけていた二年半分の日記を書籍化したレシピ本。毎日書くことを怠らなかったそうです。

私は素材整理から、文字組み&レイアウト、校正、入稿データの作成を担当しました。

100ページ以上の書籍なると、複数のページに同一レイアウトを適用できる「マスターページ」が便利なので、ここはAdobe InDesignの出番です!


素材整理

日記は全て手書きだったので、一ページづつ高解像度でスキャンし、データ化するところから始まります。
photoshopでゴミ取りと色補正をして、後からレイアウトを変更しやすいようにパーツごとに分解しておきます。

料理で例えるなら下準備。今後の作業を効率よく進めるために丁寧にやっておきべきところです。

文字組み&レイアウト

テキストはただ流し込むだけではなく、美しくかつ自然に読ませるために文字詰めや段組み、揃えなど、文字組みが必要になってきます。

文字組みの話は長くなっちゃうのでここでは割愛

書籍の場合、注意したいのがノドのアキ。
無線綴じは本が完全に開ききらないので小口よりもノドのアキを広くとってあげます。
何mmアキにするかは、ページ数や紙の厚みによって変わります。

大体15mm〜20mmがほとんど。

元の日記のレイアウトをベースに、著者と相談しながら弄りすぎず整える程度に微調整を加えながらレイアウトしました。素材処理をしっかりしていると、この作業が楽になります。

ワクワクするようなレイアウト。子供の頃はこういうのをじっくり見るの好きだったなぁ。


校正

字の間違いや抜け漏れがないように、校正の鬼になります。
校正に関しては自分を一切信じず、絶対に間違っていると疑うべき。一人ではなく複数人で校正しましょう。
校正は一般的にJISの校正記号が使われます。私はエディトリアルをやることが多々あったおかげで実践的に覚えました。

ダウンロード:http://www.amudesu.co.jp/proof.pdf


入稿データ作成

PDF入稿よりデータ入稿の方が変換時のトラブルは防げるし、後から修正の融通もききやすいです。
本番前に、実際の印刷の仕上がりに近い試し刷りを確認する「色校正」を出してもらうのがベター。

この時は国内印刷業界2強の一つ、大日本印刷さんでした。
格安の印刷通販等はPDF入稿しか受け付けていなかったり、色にシビアなものには向かないのでその辺り理解の上で印刷屋さんを選択してください。

おわりに

以上、本作りの現場からお届けしました。

本作りの大まかな流れが分かったところで本を作りたくなった方、いるのではないでしょうか?

この本の著者の方もそうですが、今ある環境の中で淡々とやり続けた自分のアイデアは、成功しようが失敗しようがいつか価値になります。

世間に認められていなくても、不完全で味のある人生を楽しんでいる素敵な方や、表に出てないけど凄い方がたくさんいるな、と多くの人と出会ってきて思います。
みんな本書けるんじゃないかなと。

本出したいと思ってた!良いアイデア閃いた!という方いらっしゃいましたらご相談ください。予算がない場合はZINEや電子書籍がおすすめです。

書いてたら私も本作りたくなってきた。



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