ウェス・アンダーソン映画に出てくるフォントに注目
ウェス・アンダーソン映画が大好きなのですが、何のフォントが使われているんだろうとずっと気になっていました。
監督はフォントにこだわりを持っていて、タイトルや劇中に使うフォントはFuturaで一貫させています。これは若い頃に観ていた古いイタリアの映画に触発されたもので、そのオマージュだといます。
1928年にPaul Rennerによって開発されたFuturaは、完全に釣り合った正方形、三角形、円に基づいており、ストロークは全体を通してほぼ完全です。ただし、これらの幾何学的形状は、誇張されたアセンダーやディセンダーと相まって、扱いにくいスペースを作成することが多く、読みやすさの観点から問題が生じる可能性があります。
その不完全さが映画の中のキャラクターのとぼけた愛らしさに通ずるのかもしれません。
最近ではFutura以外のフォントも登場するようになっており、劇中に出てくるパッケージ、ステーショナリー、本、看板、紙幣、切手、荷物、旗、店先、メニュー、パスポート、新聞などのグラフィック小道具に使われてるフォントをまとめたマニアックなサイトを見つけました。
グランド・ブダペスト・ホテル
2001年リリースのArcherは、『グランド・ブダペスト・ホテル』の劇場公開ポスターにも使用されています。
劇中の新聞記事にはMünchner Fraktur。
看板には1995年にリリースされたFF DIN。
こちらも看板で使われている2003年リリースのToronto Gothic。このフォントは1920年代のトロントスター号の見出しから発展し、丸みを帯びたコーナーと不規則なラインが愛らしさを感じさせます。
ファンタスティックMr.FOX
この作品のメインフォントはHelvetica Bold。
そしてタイトルで使われているFutura Bold。
ムーンライズ・キングダム
この作品では映画のために特別に制作されたウエイトの違う2種類のフォントをメインに使用しています。フランスのクロード・シャブロル監督作品のタイトルを参考に、Edwardian Scriptというフォントをベースに完成させたフォントです。
1982年にリリースのArial。Helveticaと似ていますが、Helveticaは文字の切り口が垂直に設計されていることに対し、Arialは斜めに設計されている部分で見分けることができます。
1975年リリースの ITC Cheltenham。
18世紀後半に発展したモダンローマン体で高級さを感じるフォントDidot。
意外とたくさんのフォントが使われていて驚きました。
しかし、ウェス・アンダーソン映画といえばFuturaとイメージができるほどフォントを自分のものにしているのはさすがです。
「犬ケ島」はまだ見ていないのですがFuturaが使われているのだそう、この作品も観たいです。
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