25年経って、ようやくあなたに言えること
「あなたのこと、愛していないと思う。でも、失いたくないの」
彼からのプロポーズに対する私からの最初の返事。YesでもNoでもない曖昧でずるい返事。当時、別れてからもずっと心を寄せる人がいた。愛する人から受ける友達宣言ほど辛いのはよく知っている。だからこそ、素直に答えなければと選んだ言葉だった。確固とした返事をすぐに出せなかった私に、直感だけがそう言わせた。
彼は私の両手を握ったまま、少し寂しそうな優しい笑顔で「わかった」とだけ答え、ゆっくりと私を抱きしめた。腕の中があまり