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日本の養蜂を支える! 熊谷養蜂

養蜂に欠かせない巣箱などの養蜂器具一式からミツバチの飼育・販売まで行っている熊谷養蜂。100年以上の歴史もあり、養蜂家の指導も行うなど養蜂業界を長く支えている会社なのだ。熊谷養蜂の社長の金子英樹さんに、日本の養蜂の今をうかがった。

金子社長:川田撮影

【登場人物紹介】
金子英樹(かねこ・ひでき)さん。
熊谷養蜂株式会社 代表取締役社長 
埼玉県養蜂協会 会長

引き継いだ経緯

熊谷養蜂のこだわりのはちみつ:川田撮影

熊谷養蜂の四代目である金子さん。引き継いだ経緯はどのようなものなのだろう。

「養蜂に携わるきっかけというほどのことはなくて、たまたま生まれたところが養蜂家だったというだけです。

 学生時代に別の職に就こうと思ったこともないね、損得とか考えたら継いだ方が楽だから。忙しい時期なんかは学生服を着たまま荷下ろしを手伝ったりしてましたね。

 会社の名前の由来は、初代が熊谷で始めたから、熊谷養蜂。その後、当時田舎で民家が少なかった花園に移転したんです。私はこの養蜂場の4代目で、分かっている限り、熊谷養蜂場でミツバチに関する養蜂資材を扱うようになって、今年で110年になります」

代々続く、熊谷養蜂を継いだ金子さん。金子さんは日本の養蜂だけでなく海外にも目を向けて、製品開発や輸入に乗り出しています。

日本にはない発想を求めて、海外へ

コロナ以前、現地の工場に技術指導に赴いたり、養蜂技術を開拓したりと海外を飛び回っていた金子さん。海外の製品が受け入れられるまで苦労したという。

「25年前から少しずつ海外製品を取り入れ始めました。海外の製品を取り入れることは、当時は珍しくて、なかなか受け入れてもらえませんでした。例えば、最初に取り入れたのは韓国の蜂蜜を絞るための分離器だったのですが、韓国は日本とは異なり、自動で回転するから使いやすくて。でも、最初は日本の養蜂家に全く受け入れられませんでしたね(苦笑)。

でもだんだんと素晴らしさが理解されて、今では欠かせない商品になっています。

コロナ前は自分も現地に出向いて、製品を触って確かめていました。作る人は養蜂家ではないから、自分が経験をもとにアドバイスしたりするのが大事だと感じていて。例えば『この機材は大体四角でなくて真四角にしなきゃ』とかね」

不遇な日本の養蜂業界

蜂の生存に関して最大の敵は農薬。しかし、日本の農業にとって農薬は効率よく生産するためには欠かせない代物だ。どのようにバランスを取っているのだろうか。

「アジア圏内だと、技術的には韓国が一番上だと思うよ、資材もグレードアップしたものをどんどん作ってる。
韓国の養蜂がすごいところは、国を挙げて養蜂に力を入れているところ。ハチがダメになれば農作物も何も作れなくなると考えていて、だからハチを考慮して、農薬の散布を調整しているんです。
しかし日本は、果樹や野菜、米の生産効率を優先していて、農薬を優先する傾向があるんです。
人工授粉の技術があるから、受粉に関してミツバチの需要が下がっているという影響もあるけどね。
農薬散布でミツバチが死んでしまうという事件は結構起こっていて、我々養蜂協会といった全国的な組織でもこういった問題を提議しているんだよね」

最近になって、熊谷養蜂のある埼玉では農薬を撒く日を知らせてくれるようになったというが、これも全国的に珍しいことなのだと金子さんは語る。

コロナで見つめ直す、”Made in Japan”

機材の倉庫を説明する金子社長:川田撮影

コロナ流行以前は海外を飛び回っていた金子さん。

「コロナ前までは売り上げがだんだん上がっていたけど、コロナでちょっと売り上げが落ちたね。コロナ疲れや経済的な理由で、趣味でやっていた人が離れていったんじゃないかな。
コロナの影響で海外からの製品流通が滞って。100パーセント海外に依存するのではなくて、”Made in Japan”もしっかり作っておかないと、何かあった時に大変だと実感したなぁ。

”Made in Japan”の製品の存在は、買う側の選択肢が増えるという意味でも重要。

質は劣るが安いものを買うか、少し高くても質の高い日本製品を買うか選ぶ余地があるわけだから。
今じゃ、養蜂資材に限らずものづくりの中心は日本ではなくて中国になってしまっているけど、日本の几帳面なモノづくりの良さも大事にしていきたい。

これからは”Made in Japan”製品の製造も進めていこうと考えてるよ」

海外に目を向けつつも日本の養蜂を案じる金子さん、行動力と積極性が印象的でした。大らかな金子さんの人柄に触れた1日でした。



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