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やっぱり自分のことを知るって大事だと耳鼻科クリニックで再認識したお話

こんにちは奥住啓祐です。
今月も口腔機能探求部へ参加頂きありがとうございました。

実際に観察ポイントを共有しながらセルフケアを行っていくと、自分が獲得している口腔機能の現状と課題が見えてきたと思います。

また、実際に参加された方は、例えば単純な舌の前後運動や左右運動であっても、人によって獲得している機能にバラツキがあることを体感できたと思います。特に舌の左右運動は難しいと感じた方は予想以上に多かったのではないでしょうか。

当日参加できなかった方はぜひアーカイブを見られてください。

セルフケアのワークを行い、自分が獲得している機能の現状と課題が見えることで、それに応じた対応も検討することができるようになります。


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☆今回のテーマ
さて今回の主役は耳垢。特に後半紹介していく高齢者、小児のデータを見ると、特に小児の耳垢栓塞については、この先10年程の傾向について言語聴覚士としてもアンテナを張っておく必要があると感じると思います。小児、医療、介護。言語聴覚士はどのような場所で活動するにしても、この聴覚領域というのは切り離せません。今回は改めて、耳垢について考えていきましょう。


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耳鼻科で耳掃除

今年の目標の一つが耳鼻科連携ということで、仲良しの耳鼻科の先生と情報交換を始めました。その中で、初めて知った2つのこと。

・耳鼻科で耳掃除(耳垢除去)をしてくれる
 ⇒ 耳垢除去は保険点数が定められている医療行為

・そもそも自分で毎日のように耳掃除をする必要がない
 ⇒ 特に私はしない方がいいタイプの耳垢

耳垢は湿性耳垢と乾性耳垢の2つのタイプに分けられ、耳垢栓塞になりやすいのはベトベトした耳垢の湿性耳垢の方。アメリカでは湿性耳垢が多く、日本では乾性耳垢が多いそうです。

なぜ私が自分で耳掃除をしない方が良いかというと、私の耳垢は自分では除去しにくい湿性タイプであることが原因でした。綿棒での耳掃除は自分が小さいときからの習慣だったので、耳掃除をしないと凄く違和感を感じるのですが、少しずつ慣れていくしかないですね。

ということで、自分の身体のケアとして、定期的な歯科医院での歯のケアに、耳鼻科クリニックでの耳のケアが加わりました。

American Academy of Otolaryngology—Head and Neck Surgery Foundation のガイドライン「Clinical Practice Guideline (Update): Earwax (Cerumen Impaction)」では、耳垢の影響の症状として、耳痛、耳鳴り、耳の膨満感、痛み、咳、難聴などが紹介されています。

私自身、耳を綺麗にしてもらってから、確かに耳の圧迫感と耳鳴りが軽くなったのと、首まわりの筋肉が楽になったように感じています(気のせいでしょうか?)。

日本人には割合の少ない湿性耳垢。こちらの記事を読まれている方で私も仲間という方は、日頃の耳のケアについて耳鼻科クリニックの先生からアドバイスを頂けるといいですね。


高齢者と耳垢

以前から歯科との連携については医療も介護も進んできているのに、同じくらい耳鼻科との連携も必要ではないかと考えていました。聴覚と認知症について下記の記事で少しふれましたが、耳垢という視点で改めて調べてみました。

https://note.com/taberuhanasu/n/nb464e0ff09df


介護施設の入居者の耳垢(アメリカ)

日本よりも湿性耳垢の方が多いアメリカ。介護施設の新規入居者を対象とした研究を見ると、高い割合で耳垢による聴覚機能への影響があることがわかりますね。

介護施設の新規入居者29名中19名(65.5%)に少なくとも片耳に耳垢があり、耳垢除去後の聴覚と認知機能を評価したところ、対照群と比較して聴覚とMMSEスコアが統計的に有意に改善した。

Ann M Moore,2002

去年、アメリカのSLPから、実際の臨床でどのように英語を話しているか実演してもらいました。ゆっくりと、大きく口を動かし、伝わりやすく、英語を話されている姿がとても印象的でしたが、上記のような結果をみるとまた見え方が変わってきます。今後、アメリカSLPさんに、アメリカにおける耳垢について聞いてみましょう。

日本の高齢者と耳垢

さて、日本でも同様の研究が複数行われており、いくつか紹介していきます。後半の小児のデータを見ると驚かれる方もいると思います。

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