歯科から見た口腔育成、耳鼻科から見た口腔育成。@小児歯科で乳児をみている言語聴覚士より
こんにちは奥住啓祐です。
先日、言語聴覚士の国家試験合格発表がありました(合格率75%)
合格された皆さんおめでとうございます。また合格された方向けのプレゼント企画を後日出しますのでお楽しみに。
ーーーーーーーーーーーーー
さて、今月は久しぶりに聴覚領域で活躍されている言語聴覚士・認定補聴器技能者の宮田先生に記事を書いて頂きました。
私自身、今年に入って歯科ー耳鼻科連携を行うということを声に出して言うようになり、いろいろと耳鼻科関連の情報が入ってくるようになりました(長期目標は歯科ー産婦人科連携)。宮田先生と聴覚領域に関していろいろディスカッショしている中でも複数の気付きがあり、今年に入って私が耳鼻科で臨床をしてみたいと思ったキッカケと合わせて紹介していきたいと思います。
言語聴覚士の就職先
Twitterを見ていると「4月から小児のSTになります」や「成人領域のSTになります」といった国家試験合格された方の投稿が増えてきます。学生時代、就職先を考えるとき大きくは成人領域、小児領域、あとは聴覚領域といった括りで私も検討していました。あとは成人領域だったら急性期、回復期といったことが検討事項になるでしょう。
ここ2年、TwitterやInstagramのメッセージで「歯科医院での臨床に興味があります」といった声を直接頂くこともあり、また、学生に講義をしている時に、卒業後の希望を聞くと、訪問など在宅領域と回答する学生とも出会うようになりました。学生時代の私の頭の中には、歯科医院で働く、在宅領域で働くという発想すらありませんでした。働き方の選択肢が徐々に広がってきているのを肌で感じています。
日本言語聴覚士協会のホームページには令和3年3月時点の会員動向として、就業状況と勤務先が示されています。都道府県別の会員数を見ると、地域によってとても大きな差があり驚きます。勤務先としては依然として医療が一番多いようですが、こういったデータを時系列やクロス集計でみれたら面白いでしょうね。地域ごとの会員の年齢構成を時系列で可視化などもしてみたいものです。
耳鼻科と言語聴覚士
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会のホームページを見ると、耳鼻科におけるST雇用の実態調査報告書を見ることができます。
上記報告書で、言語聴覚士が耳鼻科で関わる障害、保険請求の内容、ST雇用における課題などみれますので、興味のある方は読んでみてください。
耳鼻科で臨床をしようと思ったキッカケ
現在は所属している財団法人の業務の1つとして、月に4日間、小児歯科医院・歯科医院で臨床を行っています。歯科で臨床を行うようになったキッカケは、現在一緒に赤ちゃん・子ども達を見ている助産師さんから「一緒に赤ちゃん・子どもを歯科医院でみませんか」というオファーを頂いたこと。早いものでそれから4年経ち、今では福岡と熊本の3つの歯科医院で月に4日間ですが、臨床するようになりました。
上顎の育成と耳鼻科疾患
歯科医院で子ども達のケアを行うメリットの一つにセファログラム(頭部X線規格写真)や口腔の印象が見れることは以前お話しました。特にセファログラムでは、頸椎等の器質的疾患の有無、咽頭部における耳鼻科系の問題(扁桃腺の大きさ等)の有無をまず観察します。
3か所訪問している歯科医院の内の1つでは、言語聴覚士と助産師による個別ケアを始める前に、扁桃腺の肥大に伴う呼吸機能の問題があった場合、歯科医師によって上顎を拡大する矯正を個別ケアと同時に行い、それによって鼻呼吸がより楽にできることを最初のステップとしていました(今はまた少し方法が変わっています)。
扁桃腺の肥大の程度によるとは思いますが、興味深いことに上顎の拡大と共に扁桃腺の大きさが小さくなるケースは複数ありました。
今の話は、上顎の拡大が扁桃腺の大きさに影響を与えるというものでしたが、下記の書籍を読んでいると、これは一方通行ではなく、反対の図式(扁桃腺の縮小⇒上顎の発育)も成り立つことがわかります。
ここから先は
言語聴覚士オンライン 1coin ST magazine
国内外の多くの言語聴覚士で執筆しているので、言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事を提供することが実現しました。卒前卒後の継続した学習…
皆様からの優しいお気持ちは、共同プロジェクト「言語聴覚士オンライン」の活動に活かしてまいります。