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失語症 × 業務改善 2:informed consent

こんにちは奥住啓祐です。

先月「調査報告書を業務改善という視点で読んでみよう。失語症編」というテーマの記事を公開しました。

どのような取り組みを始めるにしても大事なのは現状を把握すること。どうしても日頃の臨床業務に追われがちになりますが、3カ月に1つでも取り組めたら良いですね。

2022 Aphasia Awareness Month

さて日本では2月25日が失語症の日ですが、実は6月は全米失語症協会(the National Aphasia Association)が定めた失語症啓発月間。「啓発月間」というような1ヶ月間という期間での啓発活動は日本では珍しいと思いますが、海外では複数あるんです。

例えば毎年5月は「Better Hearing and Speech Month」ちなみに今年のテーマは「人をつなぐ」でした。実は今年の失語症啓発月間のテーマも同じようなテーマなんです。

#AphasiaTogether

失語症があることで住み慣れた地域であっても孤立してしまう可能性が少なくありません。そういった方々が他の方とつながることができるよう、1カ月を通して様々なイベントが開催されています。

上のハッシュタグはTwitterの投稿リンクを載せているので、ぜひ皆さんも海外の方々の発信を探してみてください。

意思疎通支援事業

「つながる」といえば日本では、障害者総合支援法の地域生活支援事業に基づき、各地方自治体が意思疎通支援を行っていますね。

( 意思疎通支援 )
障害や難病のため、意思疎通を図ることに支障がある方に、手話通訳、要約筆記等の方法により、意思疎通を支援する者の派遣等を行います。支援にあたっては、支援される方の障害の種類・重さ、置かれている環境等を踏まえ、ニーズに即したものを行います。

(意思疎通支援の具体例)
聴覚障害者:手話、要約筆記(※)
視覚障害者:点訳、代読・代筆
盲ろう者(※):直接本人に接触する触覚手話、指点字、指文字
失語症者(※):会話における理解や表現の補助(必要に応じて道具や絵の利用等)

厚生労働省

各地方自治体が実施主体であり、都道府県、市町村それぞれに地域生活支援事業として必須事業と任意事業が定められています。ちなみに各言語聴覚士の都道府県士会が委託を受けて実施している失語症者向け意思疎通支援は必須事業に該当します。

地域生活支援事業についてのページ下部に、都道府県、市町村それぞれの必須事業、任意事業が紹介されていますので、それらを見て、さらに皆さんが住んでいる自治体の実際の取り組みについて調べてみましょう。

今回の業務改善案

さて、聴覚障害、視覚障害、失語症など、意思疎通を行うことに専門的な配慮が求められる方とコミュニケーションをとるような場面は、言語聴覚士に関わらず良くあることでしょう。

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国内外11人の言語聴覚士を中心に執筆。このmagazineを購読すると、言語聴覚士の専門領域(嚥下、失語、小児、聴覚、吃音など)に関する記事や、言語聴覚士の関連学会に関する記事を読むことができます。皆さんからの体験談など、様々な記事も集めて、養成校で学生に読んでもらえるような本にすることが目標の一つです。

国内外の多くの言語聴覚士で執筆しているので、言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事を提供することが実現しました。卒前卒後の継続した学習…

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