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感想「ミセス・ハリス、パリへ行く」11/18公開〜労働者はDiorの夢を見る〜

10月28日(金)の夜にFan's Voiceさんの試写会で観ました。

Fan's Voiceさんは「MONDAYS」の試写会を日曜日の夜に開催していていやらしいなあ(褒めてる)と思ったのですが、本作も1週間の仕事が終わった金夜に沁みる労働者讃歌でした。

ぜひ平日の仕事終わりにミセス・ハリスと出会ってほしいです。

ただ、同日公開の「ザ・メニュー」「ザリガニの鳴くところ」「サイレント・ナイト」あたりとスクリーンの奪い合いになりそうなので、週末の興行収入も高くなってほしい…ぐぬぬ。


公開前ということもあるので核心的なネタバレはしないつもりですが、気になる方は観た後にまた読みに来てもらえるとうれしいです。



1950年代、ロンドン。

戦争で夫を亡くした家政婦のミセス・ハリスが、勤め先で新しい恋に一目で落ちます。

そのお相手はDiorのドレス!

彼女はDiorのドレスを買いにパリへ行くと決心します。


キュートなミセス・ハリスに扮するのはレスリー・マンヴィル。

本作と同じくオートクチュールを題材にした「ファントム・スレッド」をどうしても思い出してしまうキャスティング。

ミセス・ハリスとまさに真逆の役がキャリアベスト級にハマっていたので割と本気で懸念していましたが、いやーかわいかった!

彼女の目尻が下がるのをもっと見たくなって、ミセス・ハリスを幸せにしようと周囲が変わっていくストーリーに説得力をもたらしていました。


様々な人の助けもあってお金を貯めたミセス・ハリスは、現ナマをバッグにもうギッチギチに詰めてDiorのメゾンへ。かわいい。

そんな彼女にマネージャーが冷水を浴びせます、「Diorのドレスはサプライズと喜びのためにデザインされてるの、あなたには活かせない」「家政婦がいつ着るの」と。

しかし、本作は「サプライズに相応しいのはセレブか、セレブの家を掃除して貯金した家政婦か」「喜びが必要なのはどちらか」と問い返してみせるのです。


当時のパリは労働者が権利を求め、ストライキが巻き起こっています。

Diorもブラックな職場で、ドレスメイカーからモデルまで不利な条件で働き、オートクチュールの将来に希望を持てません。

しかし、わたしたちはミセス・ハリスという新風に導かれ、Diorが労働者の手が届く夢として生まれ変わるのを目撃することとなります。


ミセス・ハリスと共にDiorのドレスに恋し、パリへ行き、仕事を一時忘れて癒され、本当のDiorに触れる幸福な映画体験。

本作そのものが労働者の手が届く夢なのです。

仕事を一時忘れて癒されてください!


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