歌と、ラジオ
関取花さんの新曲「今をください」が、ラジオで初解禁された。ずっと聞いている、大好きな番組での、大好きなアーティストの新曲解禁。
リアルタイムでは聞けなかったので、radikoのタイムフリーで追っかけた。いつもより少しだけ早起きができた、水曜日の朝。3時間番組を頭から順当に再生しながら、珍しく優雅にキウイの皮なんてむいちゃって、昨日駅前で買ったふわふわのシフォンケーキと、牛乳を冷蔵庫から取り出して、そのままキッチンで立ち食いしかけたけどかろうじてテーブルへ移動して。珍しく夜のうちに済ませておいた洗濯物がベランダで揺れる。
いつもより心穏やかに家を出て、駅に向かって、空席が目立つ電車に乗って乗り換えて。ラジオを再生して2時間が経った頃、ついに花さんが登場して曲のお話を始めたので、目をつむって耳を傾けた。トークの流れから曲紹介もなくそのまま新曲がかかって。やさしくて、あったかくて、繊細で、糸の束がお空にのびていくような。サビの裏声を聞いてぶわわと鳥肌が立った。
曲を聞き終えてそうっと目を開けたら、活きのいい午前中の日光が、車窓から電車の床に差し込んで踊っていて。車内の明るさになかなか目が慣れず、ぼんやりゆがんだ四角い光が眩しくて、ラジオから聞こえた「祈りのよう」だというフレーズとそれがリンクして。なんだかもうそれだけで、今日がいい1日になる予感がした。
その日の午後は、とあるインタビューのお仕事があった。その人は、「本」に世界の広さを教えてもらったのだと言った。そんな幼い頃のエピソードを聞きながら、私だったらなんて答えるだろうかなどとお門違いな想像を膨らませかけたけど、すぐ見つかった解にマスクの下でほくそ笑んだのはここだけの話。
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