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(part3)東アジアの文脈で脱植民地化を考える——Decolonize Futuresインタビュー (仕事文脈vol.24)

(part 1, 2につづいて、最後のご紹介です)

イスラエルのガザ侵攻が長年にわたり続いてきた入植者植民地主義であると批判を集め、植民地主義について学ぶ重要性を感じていた時、一つのZINEプロジェクトがスタートした。日本/東アジアにおける植民地主義の根深さ・脱植民地化の必要性について議論する『Decolonize Futures —複数形の未来を脱植民地化する』だ。エディターを務めるのは、ともに2001年生まれの酒井功雄さん、saki・soheeさん。2人に話を聞いた。
(取材・文:小沼理)

どんな言葉を使うかによって、現状の捉え方やナラティブは大きく変わってしまいます。

——被害者性/加害者性というお話を聞くと、現在イスラエルが行っているジェノサイドのことを考えます。ユダヤ人のホロコーストという歴史的な被害者性と、「10月7日にハマスが先に攻撃を仕掛けた」という、歴史性を無視した上での被害者的な語りが絡み合うことで、ガザでの行為を正当化してしまっているように見えます。ZINEにも、パレスチナの虐殺についてのステートメントを入れていますね。

Isao パレスチナに関しては僕自身、10月7日以前に学んだことも、それ以降に学んだこともあるのですが、まずイスラエル=ユダヤ人というフレームで理解しないことが重要だと考えています。現に、イスラエルによるパレスチナの人々の虐殺に対して、これはユダヤの教えに反すると強く抗議しているユダヤ人の人々は多くいます。ホロコースト以前からシオニストたちはパレスチナの土地で入植のプロジェクトを進めていました。また、イスラエルという国は入植者植民地主義に基づいていて、かつ白人至上主義の人種差別的な価値観を強く内面化しています。

 よりヨーロッパ系に近い白人的な見た目を持ったイスラエルの中のユダヤ人が優位とされ、アラブ系の市民は劣っているとされます。そしてパレスチナの人々が非人間化されています。イスラエル政府の発言でも、ガザの人々を動物化、非人間化するものがありました。そういった白人至上主義的かつ人種差別的な構造の上に今の状況が起きているんだと改めて感じます。

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