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「政治をめぐる文化そのものを変えていく」岸本聡子杉並区長インタビュー【前編】(仕事文脈vol.21)

2022年6月19日に行われた杉並区長選挙にて、現職区長をわずか187票差で破って当選した岸本聡子さん。私も在住歴10年以上の区民として固唾を呑んで選挙の行方を見守り、杉並区初の女性区長が誕生した瞬間は思わず叫んでしまうほどの歓喜だった。応援していた候補の当選は素直にうれしい。でも、「選挙に勝った! わーい」で終わらせてはいけないよな……とも思う。これからの杉並区はどうなっていくのか。暮らしと政治をつなげていくためには何をすればいいのか。そんな思いを携えて岸本区長に話をうかがった。(取材・文:清田隆之)

従来のやり方では声が届かない人たちとどう対話していくか

──7月の就任会見では「私に投票しなかった人たちの思いをより意識的に聞いていく」と述べられていました。他の候補に投票した人たち、その外側にいる政治に無関心な人たちも含め、あらゆる区民との対話を大事にしていこうという姿勢が印象的でした。

岸本 今回の投票率は37・5%でした。2018年の区長選より5%以上もアップしたのはすごいことだけど、それでも自分の暮らしに一番近い場所の首長を決める選挙に、6割以上の人が行っていないわけですよね。例えば20代から40代くらいの若い世代には、学生の間だけ杉並に住んでいる人とか、仕事が多忙で家には寝に帰るだけの人とか、共働きで子育てしていて選挙に行く余裕がない人とかがたくさんいます。そういった人たちを含め、従来のやり方では声が届かない大多数の層といかに対話していくかが大事で、そのためには多様なアプローチが必要だと考えています。

──自分も20代の頃を思い出すと、仕事や身のまわりのことで精一杯で、地域との関わりなど皆無でした。そういう無関心層とのコミュニケーションは想像するに難しそうですね……。

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