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虐殺に抗うために生活者の私たちができること/佐久間裕美子(仕事文脈vol.24・特集1「反戦」と仕事 寄稿)

 戦争は経済行為なのだ。今起きているパレスチナの虐殺をみて、強く感じる。私たちの目前で行われる殺戮行為は、誰かのお金に支えられ、誰かを儲けさせている。ガザでは、新しいコンドミニアムの建設が予定され、ニューヨークで販売予約会が行われている。虐殺は「自衛」という詭弁を笠に来た、血みどろの商行為であり、資源を支配しようとする野望であり、人命だけでなく自然の破壊に貢献する気候変動イシューであり、女性や母親たちを追い込むジェンダー問題でもある。私にとって重要なイシューが、すべて地続きでつながっているという確信を深めることにもなっている。

 私たちは、戦争は悪いことだと教えられたはずだ。生まれてきた人間は、平等に大切な存在で、幸せを追求する権利があるのだ、と。それがどうだろう。世界には、さまざまな境界があって、その線のどちら側に生まれるかによって、その命の扱われ方が違う。

 日本に生まれた私たちは、比較的幸運だと言えるのかもしれない。少なくとも今は、爆弾が飛んできたりしない。馬鹿馬鹿しく、非現実的な幻想を抱いた男たちが、たくさんの命を犠牲にした戦争に負けた後は、事実上の植民地になった引き換えに、経済的スーパーパワーの地位を手に入れた。けれど、それは、日本が、支配者、加害者、植民地主義の側に立ったことをも意味している。

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