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「強くなる」を科学する |クロスフィットを人生に還元して考える

年末からクロスフィットというアメリカで人気なトレーニングを始めた。
wiki曰くクロスフィットとは、

様々な実用的な動作(ファンクショナルムーブメント)を高い度合いで行うストレングス、コンディショニングプログラム

らしい。
もちろんスポーツの一種なのでそこでの学びを人生の学びとして一概に還元することはできないものの重要な学びがいくつかあったので丸半年間たった今言語化してみる。

1.絶対量が全て
クロスフィットは何よりも種目数が多い。思いつくだけでも50-100くらいある。そのなかの有名どころだと、スクワット、懸垂、腕立て伏せ、バーピー(小中の部活でよくやらされるやつ)。
とにかく数が多いし、ウエイトリフティング系の聞いたこともなかった種目(スナッチ、クリーン&ジャークとか)、器械体操系の種目(マッスルアップ、バタフライ、ハンドスタンドプッシュアップとか)は動作そのものの難易度が高く、思っている通りに動けないどころかそもそも動作そのものが出来ないものも多い。逆立ちして腕立てが出来るまでほぼ半年かかった。
ここで大事だったのは、まずやること、量をこなすこと。毎週やること。できないことはなかなかテンションが上がらないし、クロスフィットの場合失敗すると痛いものも多いので苦手な種目は遠ざけがちになるのだけど、やり続けることが何よりも向上にとって大切なことだった。
やり続けるから微細な感覚が養われていくし、種目をこなすのに必要な基礎筋力が増えていくし、うまい人との差分に気付けるようになる。家でどれだけyoutubeの解説動画を見ていても全く記録は伸びていかない。量が学習と成長を呼び、結果的に質に転嫁する
これはおそらくビジネスも、他の趣味も同じことがいえるだろう。できないこと・やったことがないことを始めるときにどうしても学習から入り、イメージを湧かせてからスタートしたがる人が多いが、まずはじめ、上手くできようが出来なかろうが半年単位でコミットメントすることで結果が出るものが世の中多いのではないだろうか。

2.すぐやる、意志力を使わない
クロスフィットはとにかくつらい。扱える最大重量が増えると(例えば、ベンチプレスのMAX重量が80→110キロなるとすると)、日々のトレーニングで扱う重量がそれに従って上がり辛くなるし、その上がった重量のトレーニングをこなした後に心拍数を上げて、また重いものを持って飛んだり跳ねたりする。
健康維持のためにはじめたはずなのにクラスに行かない日もスクワットとかデッドリフトの最大重量を伸ばすために足しげくエニタイムに通い、ほぼ毎日最大重量の80%付近でトレーニングをしている。
そこでの学びは、メニューに落とし込んだら、ごちゃごちゃ考えずまずジムに行き、1セットだけやってみる。それを繰り返すこと。
全体の負荷、トレーニングが終わった後の疲労感を想像するから言い訳を探すし、トレーニングの最中に手を抜くし、ちょっと数を減らそうとする。インターバルの間にスマホさわり、ついちょっと時間を先延ばしにする。
そうじゃなくて、まずやる。考えない、次の1セットだけやろうと思い、すぐ始める。そうすると1セットは消化できる。そうやって2-3セットやると全体の30-50%が終わっていて、気が楽になって案外全部終われる。
もちろんトレーニングきつすぎて怪我しそうな予感がしたり、肉体的に限界で重量が全く扱えなくなっているときは別。そうじゃないときは大体不必要に思考をして、それが邪魔になっているだけ。
これもビジネスにも生活にも同じことが言えると思う。やるべきことが明確になってない状態で、きつかったり、邪魔する人がいたり、環境が整っていないと人間無意識のうちに意識をそらして、今の自分を正当化してしまう癖があるんだろう。
トレーニングはやるべきことも、結果の尺度も分かりやすく、明確なのでやった/やらない、進捗も可視化しやすいが、ビジネスや生活になると状況がめまぐるしく変わり、成果も定義しづらかったり、可視化しづらい部分があると思うが、そこを創意工夫することでブレークスルーを生むことができるかもしれない。

3.何よりも兵站
量が大事、即実行が大事。実はそれを成り立たせられるかが一番大事。
高重量を扱い、心拍数も上げながら高負荷なトレーニングを(ビジネスマンが)続けるということは、怪我のリスクを相当負い、かつ日ごろの生活の強度を落としうるということでもある。
あくまでプロの選手でない限り、どんなに好きでも趣味として入れ込んでいてもただの余暇の過ごし方でしかない。ここで限界ラインを超えて怪我をしてしまっては何の意味もない。
進歩のために量を担保し、成長するためには、回復が重要な鍵になる。逆に言うと、回復量がかけるべき負荷のトップラインを決めるともいえる。
今の負荷をこなすために、食費の大幅な上昇、基本3食の自炊、週1の整骨院、1日8時間の睡眠、数種類のサプリ摂取をしていて、お金も時間も労力もそこそこかかっている。だからこそ人の倍くらいの負荷をこなせている。
どうしてもうまくいっている人や会社を見ると、喧伝されている一つの手法を取り入れたくなるが、今回の兵站の話のように、全体感の中でのバランスでうまくいっていることもあるので気に掛けなければならないし、何かの負荷を増やすのであれば、ダウンサイドのリスクをちゃんと認識し、負荷をかけることと同じくらい頭と体(そしてお金)を使って、兵站の設計をしないといけないのだろう。

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