三日月ファストパス

かぐやは月バスに乗って月へ帰る為、お爺さんとお婆さんに最後の挨拶をしていた。
「ファストパスのおかげで月へ帰れます。二人共ありがとう」
月バスで誰でも月へ行けるようになったが、大人気で入手が難しい。
お爺さんとお婆さんは、長蛇の列に並んでようやく入手したのだ。
「かぐや、そもそもお前が悪いのだ。月の者が迎えに来たのに、都で遊んでおったから」
お爺さんは苦笑いしながら言った。
「求婚してきた者達と博打をしていて忘れてましたの」
賭けの結果はかぐやが全勝。
求婚者達は、かぐやを手に入れることが出来ず床を叩いて悔しがっていた。
「このファストパスは今日の三日月の夜にしか使えない。体調を崩してまで手に入れた物だから、今日こそ月へ帰っておくれ」
お婆さんはゲホゲホと咳き込む。
「今日こそは必ず帰ります。今日までお世話になりました」
かぐやは二人に礼を言い、玄関を開ける。
月は雲で完全に隠れ、ザーーッと大雨が降っていた。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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