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FtMのためのニキビ対策

唐突なアンケートにご協力ありがとうございました!

思っていたよりも多くの方に回答していただけたので、本当に感謝しています!
今回は回答していただいた半数以上の方が悩んでいる「ニキビ」について出来る対策をまとめようと思います。


前置き

とある医療系国家資格を持っているため、それなりに病識や治療については学んできました。また健康や医療に関して小学校や中学校での講演会やラジオ番組での情報発信も請け負っているため、信憑性の低い情報やデマは絶対に載せません(プロとしての意地)。また、仕事上栄養指導や栄養管理を行うため、良かったら参考にしていただければと思います。

「ニキビ」とは

まず、ニキビについて知りましょう。敵を知らないことには対策できません。

尋常性ざ瘡、通称ニキビ

ニキビの病名は尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)と言います。
皮膚表面の毛穴に皮脂が溜まることでコメド(面皰や白・黒ニキビ)という状態になってしまいます。このコメドの中はアクネ菌にとってかなり過ごしやすい環境なので、あっという間に増殖し炎症を起こしたニキビに成長してしまいます。
※アクネ菌:皮膚常在菌の一種でどんな人の皮膚表面にでもいる菌。酸素が苦手で皮脂が大好き。普段は皮脂を食べて皮膚の表面を弱酸性に保って、有害な菌が皮膚に居着かないようにする役割があるよ。

原因①性ホルモンのバランス

ニキビの原因として一番多いのは性ホルモンのバランスが崩れることです。
一般的に思春期を迎えると女性は女性ホルモンを、男性は男性ホルモンを体内で分泌し始めて、男女の二次性徴を促します。いわゆる女性らしい、男性らしい身体つきにしたり、生理や声変わりなど身体的な性差が現れます。
(それはFtMでもMtFでも同じで、悔しいことにここで一気に自分の体や性別に対して嫌悪感が倍増しますね…。)
今まで性ホルモンのバランスが取れていた身体に、急に片一方の性ホルモンが増えることでその均衡が乱れてしまい、毛穴の奥から皮脂が分泌されて増えてしまいます。特に男性ホルモン(テストステロン)はこの皮脂の分泌を促進させてしまいます。
ニキビじゃなくても、顔のテカリや汚れの原因にもなってしまいます。

原因②食生活の乱れ

ニキビのきっかけが皮脂の増殖だという話をしてきましたが、そもそも皮脂ってなんだろう?ということにフォーカスを当ててみましょう。
皮脂とは文字通り、皮の脂であり皮脂腺から分泌される油分を多く含んだ液体です。この油分によって皮膚表面に薄いバリアが張られて有害な菌や刺激から保護されていたり、乾燥を防いだりしてくれます。特にアクネ菌はこの皮脂を食べることで弱酸性のバリアを作り出してくれます。
油分とはつまり脂肪、脂質です。脂っこいものやジャンクフード、糖質の多い食べ物、過度なダイエットなど偏った食生活によって、体内では脂質がたくさん蓄えられ、余分な脂質は脂肪としてだけでなく皮脂としても生まれ変わってしまいます。
※残念ながら痩せていても、運動をしていても、脂質は溜まりやすく、消費しにくいのです。
また、偏った食生活によって便秘になったり、睡眠の質が悪くなってしまってもニキビやその他肌荒れの症状が出てきてしまいます。

原因③不潔さ

ホルモンバランスは仕方ないにしても、食生活を整えればある程度防げるじゃんと思ったそこのアナタ!間違いではないですが、それでは力不足。食生活で体内から、清潔さで体外からケアしないと意味がありません。
皮膚は一定の周期で角質が生まれ変わるターンオーバーという機能があります。このターンオーバーが乱れると、余計な角質や皮脂が残ってしまい角栓やニキビの原因になってしまいます。

出来る場所

ニキビができやすい場所は皮脂腺が多い場所で、具体的には顔、背中お尻と言われています。特に顔はおでこ生え際鼻の周り口元あごなどほぼ全体的にできやすいです。
おでこや鼻は皮脂の分泌が増加することで、生え際や鼻周り、頬はマスクや触って刺激が加わって、口元やあごは男性ホルモンや清潔さを保ちにくくてニキビが出来やすい場所です。
また、体にできるニキビもリュックを背負う機会が多い人は背中に、ナベシャツを常用している人は胸や肩に出来やすいです。

対策

それでは実際にFtMでも出来る対策を提案させていただきます。

①ホルモン注射の周期見直し

これ、結構大事です。人によって服用している薬剤が違いますし、投与間隔も代謝される速度も超個人差があるので一括りで言えないのですが…ニキビがひどすぎて痛い、治る前に新しいニキビが出来る、という場合は、恐らく男性ホルモンの血中濃度が上限ギリギリあるいは超えている可能性があります。
もちろん高ければ二次性徴の変化も早いですが、それだけ副作用のリスクも大きいです。特にホルモン注射の場合は血中濃度に依存した副作用が多いので(ニキビ、脱毛、体臭などなど)、別に血中濃度が上限ギリギリになるような周期で注射を打たなくても良いのでは?と個人的には考えております。
例えば自費になってしまう可能性が高いですが、7~10日毎にテストステロン値の検査をして、どれくらいの日数で一番数値が高くなって下がり始めるのか、どれくらいの日数が経つと下がるのか(ホル切れ症状を自覚し始めるのか)を調べることで適正な周期がわかります。
自分の身体に関する変化なので、「みんなこうしてるから」で周期を決めるのは少しリスキーかと思っています。
ぜひ3回周期分くらいは細かく数値を見ていただきたいです。

ちなみに僕の場合はニキビが出来るのは半年に1個、すぐに治る軽度の小さいコメド程度です。SRSを終えてからテストステロン注射250mg(4週毎)からネビド1000mg(15週毎)に切り替えましたが、ホルモン注射による影響よりは汗や外食によってニキビが出来ています。

※自分の身体を使った人体実験をして周期を決定しました。参考までにその時のサマリーを載せておきますね。
テストステロン値はネビド注射後27~32日目に最大値(注射前数値に+510ng/dLくらい)、半減期はおよそ85日。最初の1年間は4週間毎にテストステロン値を調べましたが、ピーク値はいずれも上限値を超えず850ng/dL前後、最低値は300ng/dL前後で下限値を下回ることはなかったが400ng/dL程度になると倦怠感や無気力感、悲壮感などホル切れの自覚症状が現れることが分かった。肝機能や腎機能に目立った異常はなく、ニキビや脱毛などの外観的副作用も無い。ただ髭はまばらにしか生えないので、要経過観察。
結果:早くても14週目、遅くとも16週目にはネビドを注射すること。

②食生活の見直し

ありふれた一般的な言葉を借りると、「バランスの良い食生活」が一番良いです。当たり前です、良いと決められたそのバランスは人間が生きるのに必要だと昔の賢い人によって計算されたものだからです。
では具体的にニキビ対策として必要な栄養素は何なのか提示させていただきます。

  • ビタミンB群

特にB2とB6は皮脂の分泌をいい塩梅にコントロールしてくれます。
B2は、レバーやウナギ、納豆、アーモンド、ブロッコリーに多く含まれています。加熱調理しても失われにくいビタミンです。
B6は、カツオやマグロ、ヒレ肉やささみなど脂肪分の少ない肉類や、パプリカ、さつまいも、玄米、バナナに多く含まれています。冷凍や加工によって含有量が減ってしまうため、なるべく新鮮な状態で食べるのがおススメです。
またビタミンB群は水溶性ビタミンなので尿中に溶けだして体外に排出されてしまいます。なるべく1日3食の中に取り入れることをおススメします!

  • ビタミンC

ビタミンCは皮膚や細胞の合成に使われるビタミンですが、体内で作られないため食事から摂取する必要があります。
パプリカやブロッコリー、レモン、サツマイモに多く含まれていますが、水に溶けやすく熱に弱いため、調理に工夫が必要です。
ビタミンB群と同じように水溶性ビタミンなので、1日3食取り入れることをおススメします。

  • ビタミンE

ビタミンEは肌のバリア機能を高め、皮膚の新陳代謝も促進するため肌トラブルには欠かせないビタミンです。
ウナギや卵、アーモンド、カボチャ、アボカド、オリーブオイルに多く含まれています。
ビタミンEはB群やCとは異なり、脂溶性ビタミンといって油に溶けやすい性質を持つため生よりも加熱して油と一緒に摂る方が吸収率が上がります。

僕は一部の食べ物にアレルギーがあって食事だけでは補えないので、サプリメントを使っています。

  • 食物繊維

便秘によってニキビが増加することが分かっています。これは便秘によって腸内で悪玉菌が増加することに伴い、ガスなどの有害物質も発生します。この有害物質が血液に乗って全身を巡り、皮膚から体外へ排出されるときにターンオーバーを妨げてしまい、ニキビや肌トラブルを引き起こしてしまいます。
なので、食物繊維を摂って便秘にならないようにすることも大事ですし、食物繊維には腸内環境を整える効果も見込めるので一石二鳥です。

③洗顔

男性ホルモンによって汗をかきやすくなったり、皮脂が増えてしまうので清潔さを維持するのが大変です。
少なくとも1日1回は洗顔フォームを使って余分な皮脂や古い角質を洗い流すようにしましょう。強く擦ったり、刺激感の強い洗顔料を使うことで、肌が傷付いて余計にニキビが出来やすい状態になってしまうので要注意です。

また、洗顔だけではなく、汗をかいたらすぐに清潔なタオルで拭き取るなど、ニキビが気になるところはなるべくきれいな状態にしておきましょう。

④ストレスを抱えない

ストレスは万病の敵です。ストレスによって暴飲暴食が進み、ホルモンバランスも乱れてしまいます。
発散方法は色々あると思いますが、ストレスを感じる前に発散するようにしましょう。

総括

だいぶ長くなってしまいましたが、つまり肌に良いことは体にも良いこと、ということです。ビタミン摂りましょう、ビタミン。
ちなみに、ニキビの治療の場合は基本的に塗り薬を使うことが多いですが、最近ではピル(低用量女性ホルモン剤)の内服を推奨する先生も増えてきました。男性ホルモンを注射しながらピルを飲むことが出来るかどうかの判断は医師にお任せしますが、正直血栓のリスクが爆上がりするので避けるに越したことはないかなと…。あと卵巣が残っている場合だと女性ホルモンの作用が強くなる可能性が否定できないので、男性ホルモンを注射していても女性的な身体つきになってしまうかもしれません。

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