カメの寿命って長いね
私は友達が少なくて、でもそんなに気にしたことはなかった。
ただ、悲しいことがあった時、嬉しいことがあった時、誰にもそれを知ってもらえないことと1人でそれを抱えなきゃいけないことが急に辛くなってきてしまって
「友達 いない」で検索。
1番上に出てきたのはチャットアプリと電話アプリ。
知らない人とのチャットは得意ではなかった。
文字にすると急に冷めるあの感じがあるから。
私は電話アプリをダウンロードした。
通話はランダムで、ボタンひとつで電話をかけられる手軽さ。えぇ、今の時代ってこんなにすぐに誰かと繋がれるんだぁ、へえ。すぐにハマってしまった。
俳優志望の大学生とか、看護師になりたい高校生、彼氏と別れたい女の子、歌手になる夢を諦められない40歳、いろんな人がいて
話してる間は悩んでることもちょっとだけ忘れることができたし、なにより世の中の人の悩みを聞いていたら自分の悩みがほんとにかわいいもんだと思えてきた。
(宇宙の歴史とかの動画を見て、自分ってちっぽけな存在なんだなぁ…!とか思うタイプ)
そんな中で1人の子と通話がつながった。
高校生の男の子だった。
その子とは話が合って、はじめましてなのに3時間程通話していた。
学校の話、友達の話、将来の夢の話、今食べているお菓子の話、飼っているカメの話。
どれもが大人になってからはしないような話ばっかりで、懐かしくて、自分も高校生になったような気分で話せていた。
仕事の愚痴、上司の愚痴、未来への不安、お金の使い方。自分が今まで他の人に話してきた話題がいかにつまらないものだったかを知った。
私が話したかったのは愚痴でも悪口でもなかったんだなぁ。
私が聞きたかったのもそんなものたちじゃなくて、飼ってるカメの話だったんだ、と。
その子とは1年以上連絡を取り合った。
お互いにあまり干渉しあわず、たまに電話するのが心地よかった。
ただあまり連絡をとることが少なくなった。
その子は大学生になったらしい。
久しぶりに連絡がきた。
話が合わなくなってしまっていた。
カメはまだ生きているらしい。
またねと電話を切ったけど、たぶんもう連絡することはなくて、でもどこかで元気でいてほしいと思える人だなと思った。
カメにも長生きしてほしい。
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