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なにか趣味を始めるあなたへ。

世は大趣味時代だ。

生きることがそのもの人生の意味だった時代は、衣食住の途方もない充足によって終焉を迎えて久しい。

そしてそこにネット、SNSが襲来した今、誰もが隣人のやることなすことが気になっている。

趣味というアイデンティティが人生の意味、むしろ人生そのものになっている。

僕は写真と音楽でおおむね満足しているので新しい趣味を作ろうという気はないが、世にはこれから何か始めよう、始めたいと息を巻いている人も多いことと思う。

今回はそういった人に向けて、こうすればいいよということをまとめておこうと思う。

長文かつおもしろくもない話なので読まない方がいいです。

なんでもやってみる

これは色んな趣味に手を出そう!ということではない。

一つのカテゴリの中で色んなことをやってみようということだ。

何であれやってみれば、間違いなく経験値になる。

やってみることで外から見ていた時と違う視点でそれを見ることができるようになる。

意味が無い、自分には必要ないと思っていても、意外なところで芽を出すかもしれない。

何にでも興味を持つこと、否定しないこと。


とにかく手に入れる

何かを始めるには相応の道具が必要だ。

ギターが弾きたければギターがいるし、写真が撮りたければカメラがいる。

手にしなければ何も始まらない物は、とにかく早く手に入れるべきだ。

僕のおすすめは手に入れやすい、コストが低いかつ確実に変化をもたらすものを手に入れることだ。

昔話になるが、僕は中学の時、吹奏楽部でフルートを吹いていた。

当時は楽しくて(吹奏楽"部"はそんなに好きではなかったが)、自分のフルートが欲しいかもなんて思ったりしたものだ。

だが、それを顧問に相談しに行ったのが間違いだった。

彼は生粋の音楽人(音大卒)で、相手に合わせるのではなく「やるならちゃんとした物を買いなさい」というタイプだった。

ヤマハのカタログを僕に見せ「本当にやりたいなら30万以上、最低でも10万」と言った。

僕はひよってるやつになった。

いました。

当たり前、ガリガリくんすらためらう中坊だぞ。

そこで僕は「フルート=高価な物」という刷り込みがされてしまい、自分で買うという発想がなくなってしまった。

そうして中学を卒業してから、僕はもう十数年フルートを吹いていない。

しかし今思い返すと、この顧問が「とりあえず2万の安物でいいから買って吹きまくりな」と言ってくれていたら、もしかしたら今でも良い趣味になっていたのではと思う。

僕の好きな格言で「ドリルを欲しがる人が本当に欲しがっているのは"穴"である」というものがある。

僕に必要だったのは「フルート」ではなく「音楽を奏でられる筒」なのだ。


わからなくなるまで自分でやる

趣味を始めると教室に通ったりレッスンを受けたり、とりあえず誰かに教えを乞おうと考える人も多いだろう。

たしかに何がわからないのかわからない状態なら、まず道を示してほしいと不安になる気持ちもわかる。

ただ、まず自分で調べてやってみることから始めてほしい。

その趣味を始める時、それを始めたいと思ったきっかけ、つまり目標となる作品があるはずだ。

それを目標に、とにかくまず自分の作品を完成させること。

それに必要な知識、技術を集めること。

そうして作品が完成すると、理想との乖離、どうしてここが上手く出来ないんだろうと思う点が見つかるはずだ。

それが他人に教えを乞うべき時である。

わからない点が明確であれば教える側も求める答えを提供できる可能性が高まるし、自分もそれをちゃんと理解出来るだろう。

逆に何もわからない状態で知識だけ得ると、頭の中で点と点が線で繋がらず「文章としては理解出来るけど結局よくわからない」という状況になりかねない。

幸運にも現代は無料の解説コンテンツに溢れかえっている。

まずそれらを有効活用してはどうだろうか。


あの日の自分に言いたい

「あなたに」と書いたが、すべて自分に向けた言葉だ。

若い僕は斜に構えて上から目線で物事を見ていたし、ケチで本質が見えていなかったし、誰かに教えを乞いさえすれば上達すると思い込んでいた。

ケチなのは今でもだ。
本質が見えているかも怪しい。

しかしここで書いたことは、確実に若き僕を成長させると思っている。

そしてまだ間に合うみなさまの少しでも参考になれば幸いです。


おまけ:金を惜しまない

これは若い人、独身の人だけに向けた話だと思ってほしい。

そういう時期の人は「経験」のために使うお金は出し惜しみしない方がいい。

もしこれから誰かと付き合って結婚して子どもが出来て、という未来を想像しているならなおさらだ。

その時に後悔しても、子どもが出来てしまえば自分だけに使うリソースは限りなく制限される。

そしてそれは少なくとも20年ほど続く。

もちろん結婚資金や将来のために貯金をするのは素晴らしいことだ。

だが結婚してからも貯金はできる(身の丈にあった節制をすれば)が、世界中にあふれる素晴らしい景色や作品に触れる機会は家庭を持つとほぼ無いと思った方がいい。

自分だけのためにお金が使えるのは一瞬なのだ。

ただし、酒やタバコ、ギャンブル、見栄、その後の人生の役に立たない経験値にお金を使ってはいけないこと、
家族、子どもはどんな大金を使うよりもはるかに素晴らしい経験をさせてくれるということは覚えておいてほしい。

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