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データリテラシーについて考える

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数学・統計を元にデータリテラシーについて考えるためのヒントです
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記事一覧

世論調査が信頼できるかを見極める最低限のこと

東京都知事選が気になっている。特にその世論調査は気になる。今回は、 に感じた統計的視点からの違和感を紹介し、信頼できない世論調査とは何かを考えてみたい。 内閣支持率など、同時期に行われても新聞社毎に結果が違うから信頼できない、という人がいる。しかしそれは違う。意味がわかれば違うのは当然であることがわかる。同時にどのような調査なら信頼できる可能性があるかを示してくれている。 そして何より、「調査結果はこうでした」という結果だけ示されて信じてはいけない。 まずは発信者側が

高齢者の交通事故は増えているのか?

「死亡事故、目立つ高齢者のミス」というニュースが出ていました。こういった記事のタイトルは誤解を生みやすい。確かに池袋の母子が犠牲になった交通事故は悲惨でした。都会で他の交通手段があるのに、足がふらつく人が運転する必要はなかったでしょう。 しかしタイトルの答えはNOです。増えているとは言えません。にもかかわらず、高齢者事故ばかりを煽るようにメディアは報道しています。本当の事故率が高いのは20代以下の若い世代なのに。。。 南海トラフ地震を強調するあまり、その他の地域の防災が軽

ChatGPTに計算問題をやらせると、少し複雑になるだけで間違った答えを出す。同じ問題を探しその答えを書いているだけだから。間違った答えがあれば間違うし、似て非なる問題なら答えが違う。計算問題は正誤が明確。しかし他の問題では正誤を確認にはその分野のことを知らなければ難しいだろう。

レコメンドの怖さを知らない恐ろしさ

レコメンドは便利です。知りたいこと、関連していることをどんどん提示してくれるからです。でもちょっと待て。便利だからこそ怖い。その結果、起きてしまうことを理解していないと大変なことになる。それは、一人ひとりの問題だけではありません。社会全体の分断を招き、社会を崩壊させることことにさえつながってしまう可能性もあるのです。陰謀論へまっしぐらです。2023年初投稿の今回は、このレコメンドについて書いてみます。 (1)レコメンドは何処で使われているか (2)レコメンドはどうやって行わ

知らないことは知らないと言えること

知らないことは知らない、この部分はわからない、と言えているか。これができているかに注目すれば、内容を理解できなくても、全く知らない人でも、発言の信憑性をある程度推し量ることができるかも知れません。知っていることは何か、知らない部分は何処であるかという境界線を認識しているからです。 逆にすべてを知っているかのように話す人がいたら、要注意。いくらその分野に詳しい専門家でも、すべてを知っている人はいません。同時に断言する人にも注意が必要でしょう。断言することで、知っている範囲を大き

構造的に理解したい:中国のコロナ対策

何が起きているのかを構造的に理解する。私が常に意識していることです。内容が同じ構造かどうか考えてみる。それにより見えてくることが多いと感じます。 今回、中国でのコロナ感染爆発が話題になっています。ゼロコロナ政策の破綻、という報道もあり、日本への直行便制限、中国からの入国者を全員検査するなど、様々な動きがあります。コロナ死のカウント方法を基礎疾患などがない人に限定することで、コロナ死を少なく見せていることも指摘されています。 このニュースを聞いて感じること。それは「中国」で

コロナ重症化率、インフル並みか

いよいよ、「コロナ重症化率、インフル並み 厚労省が分類見直し議論」となったようです。もうすぐ3年にもなる、そろそろ何とかならないかという期待から、コロナはインフル並みだと思いたい人も多いでしょう。しかし情報を正確に読み解くためには、自分が期待から情報を取捨選択していないかを常に意識することが重要です。その上で、データを元に客観的理解しようと努めること。この視点から、今回はコロナはインフル並みかを考えることにしました。 初めに、もう1つ、私の立場を明確にしておきます。怖いと確

「マスクに意味がない」という主張の意味がわからない

日本人世界一マスクを着用しているのに感染者数がすごい、だからマスクは意味がない、と主張する人がいます。「世界一マスクを着用しているのに、陽性者数は世界最悪」。 いろいろな人が違うよ、と言っています。マスクを外している時に感染している、自然免疫を持っている人が少ない、日本だけが多いわけではない、などの説明が試みられています。実際、いろいろな仮説はあります。しかし真の理由はまだ解明されていません。少なくとも万人が認める詳細は、まだわかっていません。 しかしその前に、この主張は何

偏差値とは何か

こんなに恥ずかしいタイトルの記事は初めて見ました。「日本人の6人に1人は偏差値40以下、5人に1人は役所の書類を申請できない…“見えない格差”をつくった知識社会のザンコク」 信じられない。偏差値が何かを意味するかを知らない人?(本文を見ると知っているようでもあり。。。) それでもこのようなタイトルで記事を書いていると思うと、日本の知的レベルの劣化の実例を見る思いがします。 では、このタイトルの何がおかしいのかを簡単に説明しようと思います。 その前提として、正規分布が重要

「傾向は認められるが有意性は確認できない」の意味

言葉を正確に理解するには、知識が不可欠。それがはっきりわかる例の1つが、この「傾向は認められるが有意性は確認できない」だと思います。 最近目にするのは、多くの人が関心を持っているであろう新型コロナウイルスの治療薬、塩野義製薬のゾコーバと、少し前の富士フイルムのアビガンだと思います。ゾコーバについては、「塩野義のコロナ飲み薬なぜ承認されない? 薬学の識者が語る「課題」」で説明があります。例えば「薬の効き目は微妙なところがあり、データを見ても有効性はすっきりとは示されていない。

「下村博文が熱があるのに無料PCR検査」に注目している人が多いが、抗原検査で偽陰性だった点にも注目したい。 https://twitter.com/hakubun_s/status/1550351352445825024 抗原検査は感度が低い。感度が低いということは、見落としが多いということ。オミクロンではその数値さえ公表されていない。

根拠はないが、予測をしてみた

最近の陽性確認者の増加は、1日ほぼ10%になっています。1週間ならほぼ2倍。これが指数関数的増加の恐ろしさ。この先どうなってしまうのか。ところで前々から、陽性確認者数の各波のピークをつなぐと、指数関数的に増えていないか?それにあてはめたら、第7波のピークが何処まで増えるかを推定できるのではないか。データのみからの単純な推定ではありますが、それでも確認してみる価値があるかと思い、少し考えてみました。 下は、日本の陽性者確認数(7日移動平均)を片対数グラフで示したものです。赤が

数字を見てわかった気にならないために意識したいこと

数字を見てわかった気になることはとても危ない。特に初めて目にする情報には注意したい。そんなことを改めて実感する記事を読んだので紹介します。 記事はこちら: じつは戦争を望んでいた、憲法にNATO加盟を掲げた…?ゼレンスキー大統領への「大いなる誤解」を解く です。 ウクライナ語、ロシア語に堪能な、岡部芳彦神戸大学教授の記事です。それは、「73%だった支持率がその後、20%台後半にまで低迷していたが、開戦後90%超にまで回復した。だからゼレンスキーは戦争を望んでいた」という文

新型コロナ発生届のフォーマットを6/30付けで変更、接種回数を記入できるようにしたら、「未記入」の割合が減り2回接種者の比率が増えているとか。東京都の発表からわかるらしい。(データ未確認) https://www.mhlw.go.jp/content/000958882.pdf https://twitter.com/xjR1BqbrppuegLj/status/1543585601760686081