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改正法はどこまで勉強するべきか…555時間の習慣で社労士合格!

 社労士受験生の皆さん、こんにちは!「555時間の習慣で社労士合格!」の高橋佳子です。直前期の勉強スケジュールに追われる毎日ですか?それとも波に乗ってリズムよく勉強が進んでいますでしょうか?
 さて今回は「改正法」の向き合い方についてお伝えしたいと思います。まさに今勉強中というあなたへお話しさせていただきます。

出題はたった5%ほど…

 改正法の(択一式)出題ですが、過去問を遡った平均値がなんと「5%」ほどなんです。これを知っただけでもショックだと思います。また、改正法が1肢も出題されなかった年もあります。
 でも、これを聞いた瞬間「もうやめた!」とあきらめるのは早いです。択一式出題がなければ「選択式出題」という手があります。ということは、深入りせずに予備校や市販テキストの重要と言われるポイントをつまんでいく、そのような勉強方法が良いと思います。

2年前の改正は出題率が高い!

 今年(2021年)の試験の場合、昨年度(2020年度)と併せて一昨年度(2019年度)の改正法もひと通り見ていただきたいです。なぜなら、改正後1年間運用されているということで、作問者は「新しい問題」として出題を考えていると言われているからです。大概入手できる改正法のテキストには2年分掲載があると思いますので、それぞれポイントをつまむようにしていきましょう。

予想問題を通じて改正法を理解しよう!

 残念ながら改正法には過去問がありません。(あたりまえですね!)ということは、①改正法テキストに附属の予想問題を解いてから②改正法解説に戻る、を数回繰り返すと改正法の概略がつかめるようになります。
 ただし、予想問題はあくまで「予想」ですので、予想問題集めをする必要はありません。あくまで「改正内容を理解するためのツール」という位置づけを忘れず、取り組んでいきましょう。

時間がない人は10対1のルールで…

 冒頭、出題は「5%」程度とお伝えした通りで、改正法だけで1日費やす、はもったいないと思います。特に「時間が無くて焦っています…」という方には「10対1」で勉強することをおススメします。一般常識以外の8科目が「10」、改正法が「1」と比率になります。
 例えば…先ずは8科目をベースに勉強して、休憩時間前後に改正法を見る(解く)…など、ご自身のリズムで改正法を取り入れていただければと思います。

総復習③労働者災害補償保険法(択一式)

 総復習の第3回目は労働者災害補償保険法(労災保険法)です。過去問より抜粋した5肢択一問題とその解説になります。本試験形式で4問出題致します。目標時間は15分です。時間を計って解いてみましょう。

【問1】労災保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成26年労災-第7問)

(A)特別加入制度において、個人貨物運送業者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

(B)特別加入制度において、家内労働者については通勤災害に関する保険給付は支給されない。

(C)国庫は、労災保険事業に要する費用の一部を補助することができる。

(D)労働者が業務に起因して負傷又は疾病を生じた場合に該当すると認められるためには、業務と負傷又は疾病との間に相当因果関係があることが必要である。

(E)船員法上の船員については労災保険法は適用されない。

【問2】労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下、本問において「保険関係成立届」という。)の提出を行わない事業主に対する費用徴収のための故意又は重大な過失の認定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問の「保険手続に関する指導」とは、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所の職員が、保険関係成立届の提出を行わない事業主の事業場を訪問し又は当該事業場の事業主等を呼び出す方法等により、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう直接行う指導をいう。また、「加入勧奨」とは、厚生労働省労働基準局長の委託する労働保険適用促進業務を行う一般社団法人全国労働保険事務組合連合会の支部である都道府県労働保険事務組合連合会(以下「都道府県労保連」という。)又は同業務を行う都道府県労保連の会員である労働保険事務組合が、保険関係成立届の提出ほか所定の手続について行う勧奨をいう。(平成27年労災-第4問)

(A)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

(B)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、加入勧奨を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

(C)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収率を40%とする。

(D)事業主が、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、かつ、事業主が、その雇用する労働者について、取締役の地位にある等労働者性の判断が容易でないといったやむを得ない事情のために、労働者に該当しないと誤認し、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、その事業において、当該保険関係成立日から1年を経過した後に生じた事故については、労災保険法第31条第1項第1号の「重大な過失」と認定しない。

(E)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、かつ、事業主が、本来独立した事業として取り扱うべき出張所等について、独立した事業には該当しないと誤認したために、当該事業の保険関係について直近上位の事業等他の事業に包括して手続をとり、独立した事業としては、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、「重大な過失」と認定した上で、原則、費用徴収率を40%とする。

【問3】派遣労働者に係る労災保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(令和1年労災-第4問)

(A)派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うこととされている。

(B)派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められるものとして取り扱うこととされている。

(C)派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となるため、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となるものとして取り扱うこととされている。

(D)派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、当該派遣労働者に係る労働者派遣契約の内容等を把握するため、当該派遣労働者に係る「派遣元管理台帳」の写しを保険給付請求書に添付することとされている。

(E)派遣労働者の保険給付の請求に当たっては、保険給付請求書の事業主の証明は派遣先事業主が行うこととされている。

【問4】労働者災害補償保険の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のこと、「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のこと、「労災保険法施行規則」とは「労働者災害補償保険法施行規則」のことである。(平成22年労災-第1問)

(A)労災保険の保険給付は、業務災害に対する迅速公正な保護だけでなく、通勤災害に対しても同様な保護をするために行われるものであるが、通勤災害に関しては、業務災害に係る介護補償給付に対応する保険給付は定められていない。

(B)労災保険の保険給付のうち、業務災害に関する保険給付は、労働基準法に規定する災害補償の事由が生じた場合にのみ行われるのであって、その種類は、給付を受けるべき者の請求に基づく療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料及び介護補償給付に限られる。

(C)偽りその他不正の手段により労災保険の保険給付を受けた者がある場合において、その保険給付が事業主の虚偽の報告又は証明をしたために行われたものであるときは、保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない。

(D)一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる。

(E)遺族補償給付を受ける権利を有する同順位者が2人以上ある場合の遺族補償給付の額は、遺族補償年金にあっては労災保険法別表第1に規定する額を、遺族補償一時金にあっては同法別表第2に規定する額を、それぞれ同順位者の人数で除して得た額となる。


総復習③労働者災害補償保険法(択一式解説)

 5肢択一問題はいかがでしたでしょうか。今回は「労災制度」「費用徴収」「派遣」「保険給付」とピックアップしてみました。特に「派遣」や「費用徴収」は、設問のクセも見ていただきたいと思います。そして、近年設問前の問題文が長いのもよく見るようになりました。設問を早く解きたいために長文の問題文を読まず飛ばしたいところですが、それはNGです。本番では落ち着いて読めるよう、日々過去問で慣れていきましょう。

※過去問と解説(本文含む)に「点数問題」とあるのは、択一式で「正解」となり「点数につながった設問」です。この正解ポイントが後の本試験では違う形で出題されています。単なる〇✖ではなく、その解答の「理由」が瞬時に出てくるように、繰り返し過去問を解いて訓練していきましょう。

【問1】解説
(A)正解 法35条1項、則46条の17、則46条の22の2
自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業、漁船による水産動植物の採捕の事業、特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者、危険有害作業を行う家内労働者等については、その住居とその就業場所との間の往復の実態が明確でないこと等から、通勤災害に関しては労災保険は適用しないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解 法35条1項、則46条の17、則46条の22の2
自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業、漁船による水産動植物の採捕の事業、特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者、危険有害作業を行う家内労働者等については、その住居とその就業場所との間の往復の実態が明確でないこと等から、通勤災害に関しては労災保険は適用しないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解 法32条
国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができることになっている。これは、保険給付の大幅年金化によって、労災保険の給付体系が労基法の補償体系とは独自に拡充された結果、労災保険は、労基法による個々の事業主の災害補償を直接に代行するものではなく、むしろ事業全体の拠出によって被災労働者とその遺族の保護をするために必要な給付を行う制度というにふさわしいものとなったことから、国としては、事業主全体の負担を考慮し、いわば政策的配慮として、国庫補助を行うことができることとされたものである。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解 法7条1項
業務上の事由による労働者の傷病等とは、業務が原因となった傷病等ということであり、業務と傷病等の間に一定の因果関係が存在する場合である。このような業務と傷病等の間の因果関係を、実務上「業務起因性」と呼んでいる。
そして、労災保険の保険給付は、労災保険の適用を受けている事業の労働者に対して行われるものであることから、業務起因性が認められ業務上の傷病等であるとされるためには、まず、労働者がそのような適用事業に雇われて働いていること、労働関係にあることが必要である。すなわち、当該傷病等が業務に起因して生じた業務上の傷病等であるためには、その原因が当該労働関係のもとにあることを条件として発生したことを要する。この「労働者が労働関係のもとにあること」、すなわち「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態」を実務上「業務遂行性」と呼んでいる。
つまり、業務上の傷病等と認められるためには、その傷病等に業務起因性が成立しなければならないが、業務起因性が成立するためには、その第一次的な条件として業務遂行性が認められなければならないということである。それは、業務遂行性がなければ業務起因性も成立しないということであって、業務遂行性があっても当然には業務起因性があるということにはならないということである。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り 法3条 点数問題
船員法上の船員も適用除外とはなっておらず、労災保険法の適用を受ける。
よって「労災保険法は適用されない。」とした問題文は誤りとなる。
【問2】解説
(A)正解 法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう指導(未手続事業場を訪問し又は当該事業場の事業主等を呼び出す方法等により職員が直接指導するものに限る。(保険手続に関する指導))を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を100%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解 法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、厚生労働省労働基準局長の委託する労働保険適用促進業務を行う一般社団法人全国労働保険事務組合連合会の支部である都道府県労働保険事務組合連合会又は同業務を行う都道府県労保連の会員である労働保険事務組合から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう勧奨(加入勧奨)を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を100%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解 法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けていない場合で、かつ、保険関係成立日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していないときは、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされており、この場合の費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を40%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解 法31条、平成17年9月22日基発922001号
保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立日以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされているが、事業主が、その雇用する労働者について、労働者に該当しないと誤認したために保険関係成立届を提出していなかった場合(当該労働者が取締役の地位にある等労働者性の判断が容易でなく、事業主が誤認したことについてやむを得ない事情が認められる場合に限る。)については「重大な過失」があったと認定しないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り 法31条、平成17年9月22日基発922001号 点数問題
保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立日以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされているが、事業主が、本来独立した事業として取り扱うべき出張所等について、独立した事業には該当しないと誤認したために、当該事業の保険関係について直近上位の事業等他の事業に包括して手続をとっている場合については「重大な過失」があったと認定しないこととされている。
よって、「重大な過失と認定した上で、原則、費用徴収率を40%とする。」とした問題文は誤りとなる。
【問3】解説
(A)正解 昭和61年6月30日基発383号・発労徴41号
派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解 昭和61年6月30日基発383号・発労徴41号
派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められるものであることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解 昭和61年6月30日基発383号・発労徴41号
派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となることとされている。したがって、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解 昭和61年6月30日基発383号・発労徴41号
派遣労働者については、その就労形態の特異性に鑑み、保険給付の請求に当たり特に次により取り扱うこととするので、請求人ほか関係者の指導に努めることとされている。
①保険給付請求書の事業主の証明は派遣元事業主が行うが、当該証明の根拠を明らかにさせるため、死傷病報告書の写等災害の発生年月日、災害の原因及び災害の発生状況に関して派遣先事業主が作成した文書を療養(補償)給付以外の保険給付の最初の請求を行う際に添付させること。なお、療養(補償)給付のみの請求がなされる場合にあっては、派遣先事業主に、当該請求書の記載事項のうち、事業主が証明する事項の記載内容が事実と相違ない旨、当該請求書の余白又は裏面に記載させること。
②当該派遣労働者に係る労働者派遣契約の内容等を把握するため、当該派遣労働者に係る「派遣元管理台帳」の写を当該保険給付請求書に添付させること。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り 昭和61年6月30日基発383号・発労徴41号 点数問題
派遣労働者については、その就労形態の特異性に鑑み、保険給付の請求に当たり特に次により取り扱うこととするので、請求人ほか関係者の指導に努めることとされている。
①保険給付請求書の事業主の証明は派遣元事業主が行うが、当該証明の根拠を明らかにさせるため、死傷病報告書の写等災害の発生年月日、災害の原因及び災害の発生状況に関して派遣先事業主が作成した文書を療養(補償)給付以外の保険給付の最初の請求を行う際に添付させること。なお、療養(補償)給付のみの請求がなされる場合にあっては、派遣先事業主に、当該請求書の記載事項のうち、事業主が証明する事項の記載内容が事実と相違ない旨、当該請求書の余白又は裏面に記載させること。
②当該派遣労働者に係る労働者派遣契約の内容等を把握するため、当該派遣労働者に係る「派遣元管理台帳」の写を当該保険給付請求書に添付させること。
よって、「事業主の証明は派遣先事業主が行う」とした問題文は誤りとなる。
【問4】解説
(A)誤り 法24条
通勤災害に関する保険給付として介護給付が設けられている。
よって、「通勤災害に関しては、業務災害に係る介護補償給付に対応する保険給付は定められていない」とした問題文は誤りとなる。
なお、介護給付は、障害年金又は傷病年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害年金又は傷病年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行うこととされている。
1.障害者支援施設(生活介護を受けている場合に限る)
2.病院又は診療所
3.特別養護老人ホーム
4.原子爆弾被爆者特別養護ホーム
5.厚生労働大臣が定める施設

(B)誤り 法12条の8
業務災害に関する保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法に規定する災害補償の事由又は船員法に規定する災害補償の事由のうち一定のものが生じた場合に、補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行うこととされている。
また、業務災害に関する保険給付には、療養補償給付、休業補償給付、傷病補償年金、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料及び介護補償給付が設けられている。
よって、「労働基準法に規定する災害補償の事由が生じた場合にのみ行われる」とした点、業務災害に関する保険給付について「傷病補償年金」の記述が抜けている点から問題文は誤りとなる。

(C)誤り 法12条の3第2項
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者がある場合において、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部の徴収金の納付を命ずることができるとされている。
よって、「保険給付を受けた者ではなく事業主が、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を政府に返還しなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、この場合の徴収金については、実際に受けた保険給付のうち、偽りその他不正の手段により給付を受けた部分に相当する価額に限られている。(昭和40年7月31日基発906号)

(D)誤り 法35条1項、則46条の22の2
一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者について、住居と就業の場所との間の往復の実態が明確ではないこと等から、通勤災害の保護の対象とされないことになっている。
よって、「自宅から漁港までの移動が通勤とみなされ、通勤災害に関しても労災保険の適用を受けることができる」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解 法16条の3第2項、法16条の8第2項 点数問題
遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あるとき、遺族補償年金の額は別表第一に規定する額をその人数で除して得た額、遺族補償一時金の額は別表第二に規定する額をその人数で除して得た額とされている。
よって、問題文は正解となる。

総復習③労働者災害補償保険法のまとめ

 解答お疲れさまでした。4問中何問取れましたか?まさか全問答えが「E」なんて…と途中で答えを変えてしまった方はいませんか?今回の基準点は3問以上で考えていただければと思います。
 今回の出題の他押さえておきたい箇所は「業務上の疾病」です。平成28年選択式、令和元年択一式出題で止まっています。特に数字と用語が集中していますので、過去問を通じて押さえていきましょう。

過去問リンクはこちらから

今回の「555時間の習慣で社労士合格!」はいかがでしたでしょうか。
ご感想などお待ちしています。

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