T_Yamaguchi

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書評・感想『病が分断するアメリカ』 ~公衆衛生と「自由」のジレンマ~  平体由美著 感想と個人的な評価

個人的な評価:★★★★★(星5.0) 正直言うと、あまり期待をせずに読んだが、読んでみるととても良い本だった。 評価としては5点満点とした。 なぜとても良い本だったのかという理由は、「本書は単にアメリカにおける公衆衛生の問題を論じた本に留まらない内容だったから」ということである。 より具体的に言えば、本書は「公衆衛生とは何か」という、より広い視点を詳しく論じたうえで、それがCOVID-19の蔓延するアメリカにおいて、どのように分断を拡げて言ったのか、という論理展開を行って

    • 書評・感想『実験の民主主義』 ~トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ~  宇野重規著、若林恵著 感想と個人的な評価

      個人的な評価:★★★★☆(星4.5) 基本的には名著であり、内容はとても示唆に富む。 本書は対談形式の本だが、特に宇野重規氏の語りは丁寧かつわかりやすい。 同氏は、かつて某首相に日本学術会議の会員に任命されなかった6名のうちの1人だが、本書を読む限り、任命しなかった某首相はその不明を恥じるべきだと考える。 0.5点の減点としたのは、対談としたことは良かったと思うが、その形式やその他に若干の不満を感じたからであり、それが無ければ十分に5点満点を付けてよい本であったと思っている

      • 書評・感想『働かないアリ 過労死するアリ』~ヒト社会が幸せになるヒント~村上貴弘著  感想と個人的な評価

        個人的な評価:★★★★★(星5.0) とても良い本だと思う。 読みやすいし、解り易い。評価としては5点満点とした。 なぜ良い本かというと、書かれている内容が、アリのことだけではなく、「進化」を理解するために必要な話とか、環境問題、さらには著者が宇宙飛行士に挑戦する話も出ていて、とても幅広く、かつためになるからである。 著者は有名なアリの研究者で、本のタイトルもアリに関することしか書かれていない。 しかし、既述のとおり、内容としてはアリのことだけでなく、とても幅広い。 別

        • 書評・感想『共感革命』 社交する人類の進化と未来 山極壽一著感想と個人的な評価

          個人的な評価:★★★★☆(星3.5~4.0) この本の基本的なメッセージである「共感革命」については、文字通り“共感”するし、その通りだと感じている。 しかし、後述するように、トータルで見るとやや違和感がある本であった。 そのため、本書に関しては、星は「3.5~4.0」という評価とした。 1. 本書の感想本書については、序章~第二章までが「共感革命」の話の中心であり、ここまでを読めば、その最も重要な点を理解できる。 今までの定説では、人類の繁栄は約7万年前の言葉の獲得が

        書評・感想『病が分断するアメリカ』 ~公衆衛生と「自由」のジレンマ~  平体由美著 感想と個人的な評価

        • 書評・感想『実験の民主主義』 ~トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ~  宇野重規著、若林恵著 感想と個人的な評価

        • 書評・感想『働かないアリ 過労死するアリ』~ヒト社会が幸せになるヒント~村上貴弘著  感想と個人的な評価

        • 書評・感想『共感革命』 社交する人類の進化と未来 山極壽一著感想と個人的な評価

          書評・感想『人事変革ストーリー』~個と組織「共進化」の時代~ 高倉千春著 感想と個人的な評価

          個人的な評価:★★★☆☆(星3.5~4.0) はじめに:総合的な感想 企業が採用している人事制度について、最新のトレンドや考え方を知ることができる。 その意味では大変参考になる書籍であった。 しかし、本書は、上記のような内容を、ビジネス書ではなく新書で出版する、ということになったせいだろうか、結果としてやや中途半端な内容になったという印象がある。 序章はともかくとして、第2章からは著者の経歴に関する説明が長く続く。 現在大学を卒業する前の学生、特に女子学生の皆さんが、自

          書評・感想『人事変革ストーリー』~個と組織「共進化」の時代~ 高倉千春著 感想と個人的な評価

          書評・感想『資本主義の中心で、資本主義を変える』清水大吾著 感想と個人的な評価

          個人的な評価:★★★☆☆(星3.0~3.5) はじめに:総合的な感想 この本を読み終えて、不思議な読後感が残った。 こんな読後感は初めてだった。 この本のタイトルが、昔のベストセラー本をもじっていることは、よくわかる。 しかし、たかだか、ゴールドマン・サックスで仕事をしていた、というだけで「資本主義の中心で」とは、「よく言えたものだ」と感じる。 さらに、資本主義に対する理解、分析も非常に浅いし、内容が薄い。それだけの理解で、「資本主義を変える」とは、やはり「よく言えたもの

          書評・感想『資本主義の中心で、資本主義を変える』清水大吾著 感想と個人的な評価

          書評・感想『恋愛結婚の終焉』 牛窪恵著 感想と個人的な評価

          個人的な評価:★★★★☆(星3.5~4.0) この本は最終的なメッセージである「24の提言」には傾聴に値する。 しかし、その前の部分は冗長であったり、単なる他の本からの引用であったりすることが残念である。 そのため、本書に関しては、星は「3.5~4.0」という評価とした。 I. 本書の感想 最初に断っておくが、「提言」の部分に関して一部ネタバレがあるのでご注意いただきたい。 1.「恋愛結婚の終焉」というタイトルについて この本のタイトルを見て最初に思ったことは、「こ

          書評・感想『恋愛結婚の終焉』 牛窪恵著 感想と個人的な評価

          書評・感想『現代経済学の直感的方法』 長沼伸一郎著 感想と個人的な評価

          個人的な評価:★★★★☆(星4.0) 少し古い本であるが、かなりの良著であると言ってよい。 その一方で、一部にこの著者の「独善的」とも言える解釈が混ざっているし、「もう少し深く考えるべきではないか」と思われる点もある。そのため、厳しくみて星を一つマイナスすることにした。 なお、最初に断っておくが、本書評は未完成の段階で公表することとしている。 そのため、随時更新し、過去の記載分に関しても修正を行っていく可能性があることについて、ご了解をいただきたい。 (現在は、第7章まで

          書評・感想『現代経済学の直感的方法』 長沼伸一郎著 感想と個人的な評価

          書評・感想『御成敗式目』佐藤雄基著

          総合評価個人的な評価:★★★★★(星5つ) この本は力作と言える本で、昨年読んだ本の中でも上位に位置付けられる本であった。 私がこの本を読む前に疑問に思っていたのは、以下の3点である。 鎌倉幕府はどういう性質を持った政治組織だったのか。 御成敗式目とは、どのような特徴を持った「法律」なのか 鎌倉幕府と御成敗式目は、現代のわれわれにとってどのような意味を持つのか 以下、上記3点に関する私の感想と意見を述べていきたい。 1.鎌倉幕府はどういう性質を持った政治組織だっ

          書評・感想『御成敗式目』佐藤雄基著

          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私が、60歳の今まで地毛を十分に保てた理由③私のやり方教えます

          薄毛対策の基本的な考え方 今回は、いよいよ私自身が試してきた方法を公開する。 初めに、私の推奨する薄毛対策の考え方を再度列挙させていただく。 薄毛対策をするべきかどうかは、現在髪の毛があるかどうかということよりも、遺伝的に薄毛になりそうかどうかがより重要である。 自分の現在の髪の状態よりも、自分自身の父親や、父方・母方の祖父の髪の状況を見て、遺伝的に自分が薄毛になる可能性が高いかどうかを、客観的に判断したほうがよい。 もしも、遺伝的に薄毛になる可能性が高いのであれば、

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          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私…

          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私が、60歳の今まで地毛を十分に保てた理由/       ②一般的な対策との比較

          私が推奨したい対策の考え方前回のブログで、薄毛対策に関して、私の個人的な経験に基づいた方法があり、それをご紹介したい、という話をした。 (ぜひ、前回のブログも読んでいただきたい) 私が推奨したい対策の考え方は、下記の通りである。 私が自分自身の対策を示すことに対しては、当然ながら、以下のような“異論”が出てくるだろう。 「薄毛対策、若ハゲ対策に関しては、すでにインターネット等に数多く書かれているはずだ。いまさら、素人が言うことを聞く必要は無いのではないだろうか?」 これ

          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私が、60歳の今まで地毛を十分に保てた理由/       ②一般的な対策との比較

          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私が、60歳の今まで地毛を十分に保てた理由/       ① Introduction: 私が経験から得たもの

          5年前・同窓会でのこと あれは、コロナ禍の前だから、約5年前のことで、当時私は55歳であった その日、中学・高校の同窓会(注)に出席した私は、立食形式の会場の中で、同期のO君を探していた。 O君を探していた理由は、彼にある言葉を言うためである。 その言葉とは、ここ30年ほどの間、「O君に将来同窓会で会ったら、必ず彼に言いたい」と思っていたものである。 (注)私は、中学・高校のいわゆる一貫校に通っていた ようやく、会場の中でO君を見つけた私は、彼と挨拶のことばを交わした。

          10代で「若ハゲ」「20代で髪の毛が無くなる」と言われた私が、60歳の今まで地毛を十分に保てた理由/       ① Introduction: 私が経験から得たもの