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認知症の人がつながりを再構築するきっかけ

おはようございます。

今日は、青空に紅葉が生える良い天気。朝から近くのカフェで朝食を食べてきた。

さて、今日は孤立した認知症の人がつながりを再構築していくきっかけについて書いてみたいと思う

認知症は、脳の病気により、生活に支障をきたしている状態のことを指す。一人暮らしの認知症の人が地域で住み続けるためには、その支障を取り除いたり、一緒に解決する人のかかわりが必要となる。

ただ、認知症の人が、自らの症状を自覚して、助けてほしいということは少ない。ほとんどの場合は、周囲の人が気づくことが多い。
まず、認知症ではないかと気づくのは身内であろう。家族が気づかない場合もある。家庭内でほとんど交流がない家庭が想像以上に多い。そういう場合、地域で認知症の人がいることが発見される。よくあるのが近所の人や民生委員、その人が生活のために行くお店、特にコンビニだろう。そういうところで、シャワーを浴びていない、同じものを何度も買いに来る、お金が数えられないなどの症状が発覚する。

認知症の人とかかわる仕事をしている人、家族に認知症の人がいて介護の経験がある人、認知症サポーター養成講座を受けた人などは、その人のことを心配してくれて、包括支援センターにつなげてくれることがある。
まず、これが第一段階。ここで誰にもつながらないと、しばらく放置された状態になってしまうことも稀ではない。(包括支援センターとのつながりはとても大事)

一方で、出会った人が親身になってくれるかどうかも重要。認知症の人は施設に行くべきだという考えを持つ人が最初にかかわると、本人がまだ自分でいろいろなことができるにもかかわらず、その声の大きい人の影響で、入所せざるを得ないような人間関係トラブルに発展することもある。また、悪徳な訪問販売に騙されている人もいる。クーリングオフなどもできる段階でかかわることが重要。

包括支援センターは、本人の権利擁護に関する活動もしてくださる。できるだけ双方の言い分を聞きながらもその地域で生活できるように労を惜しまずかかわってくれる人が多い。(私のご縁のある包括支援センターは、一生懸命かかわってくれる人が多い)

さて、包括支援センターは、状態を判断するために本人に電話をしたり、訪問する。訪問して、まだ症状が軽い場合でも医療機関の受診を勧めてくれる。また医療機関に行きたくない方でも認知症カフェや地域の交流会などへのお誘いをして、地域とのつながりを大切にしてくれる。包括支援センターで支援が必要な認知症がありそうだと判断すると、まず主治医を探す。なぜなら介護保険を利用するためには、医師に主治医意見書を書いてもらう必要があるからだ。主治医がいない場合は、私のような認知症サポート医に相談が来る。

なおこの主治医意見書は、ドクターによっては記載を嫌がる人もいると聞くが、大変重要なものである。その人がこれまでどのような病気にかかり、現在どんな生活を送っているかを記載することができる。(ただし診断書とは異なり、意見書なので、それが介護度に反映されるとは限らない)

たとえ介護保険が利用できるようになったとしても、サービスにつながるとは限らない。難しいのは本人が支援を必要であると認識していない場合である。そういう場合、数年間風呂には行っていない状態であったり、物がたくさんあって片づけられない状態であったり、冷蔵庫の中が期限切れの食品でいっぱいになっていることも少なからずある。
これからの季節は、火の元も心配だし、運転している場合は事故を起こすのではないかとハラハラする。

なにはともあれ、生活に不具合が出ているのだから、周囲の人は支援を提供したいと思う。ただ、だれかと交流することをあまり望まない人も多い。
そんな時、訪問介護で手伝ってもらうこともできないことはないが、支援を提供できない場合は、算定できない(タダ働きになってしまう)。

支援の手前で躓いてしまう場合は、訪問看護の出番である。
まず人間関係の構築をして、血圧を測らせてもらったり、爪の処置をするなど、普段行き届かない健康状態に対して、支援を受けることに慣れてもらえると、少しずつかかわれるようになる。訪問看護の手伝いを受けながら、シャワーを浴びられるようになったり、風呂に入れるようになる人も少なくない。

また、そうやってかかわる人が信頼できる人だと認識されると、その人の勧めから訪問介護の利用につながっていくことも多い。
訪問看護は、医師の訪問看護指示書が必要である。やはり主治医の存在は大きい。かかりつけ医の先生方には、認知症の人が人とのつながりを再構築していくきっかけを支援してほしいと思う。これは一つの社会的処方とも呼べるものだろうと思う。




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