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訪問販売員だった頃の思ひ出

もう20年近く前の話になりますが、鈴木は訪問セールスマンとして社会人となりました。

正直、将来何になりたいかといった夢も持たず、ぼんやり生きておりましたので、あんまり熱心な就職活動をしておらず、内定が出た会社にただ入ったという感じでした。
一応有名企業の関連会社ということで、文系の田舎学生としてはまぁ良いんでないの、とか思ってました。
大事なのはちゃんと就職して、奨学金を返すことだけだと思っていたんですよ。
純朴でしたね。

ほんで何を売っていたかというと、中学生や高校生向けのテストです。
実力試し的な。
3,000円で。

3,000円のテスト売ったところで、儲けられるわけありません。
そのテストの結果報告と解説という名目で、別な営業マン(クローザー)が再度訪問しまして、本命の学習教材を売るという。
そういう仕組みです。
3,000円のテストを売る営業マンはアプローチャーと呼ばれていました。
うん十万する学習教材を売るために、分業制だったというわけですね。

その頃はまだ個人情報におおらかな時代でして、どこに中学生や高校生が住んでいるか、役所にいけばわかるんだと上司からは聞かされていました。
某地図メーカーの地図をコピーしまして、それをセロテープで合体させて
クソデカ局所地図を作りまして、中高生の住んでいる家に蛍光ペンで色を
塗りましてね。
その地図を持って現場に行くわけですよ。
いやー、アナログですね。

生まれ育った青森から仙台に出てきましてね。
その上、知らん人の家のピンポン押して、テスト売るわけです。
知らん土地の知らん人の家のピンポンなんて、「知らん中の知らん」でしょう?
人生初の「知らん中の知らん」ピンポン押す時は、かなり勇気が要りましたね。
5分ぐらい踏ん切りつかなかったと思います。

ま、そんなのは次第に慣れてはいくんですが、ピンポン押される側は迷惑な話で。
玄関のドアが空けばまぁ良いほうです。
1日頑張って1テスト売れれば合格点でしたよ。

月20日稼働で、10テスト売れればお咎めはなく、それ以下が2ヶ月続くと所長と面談になり、「どうする?」と詰められる。
「どうする?」って、ねぇ。
便利な言葉ですね。
決断したのは詰められる側。
自己都合というやつなんですわ。

そんなこんなで1年ぐらい頑張りましたが、あえなく2ヶ月連続でノルマを達成することが出来ない時がやってきてしまい、「自己都合」で退職することになりました。

いま思い出してみても、全体としての思い出は漠然とした「辛い」だけです。
何がどう辛かったかは曖昧ですね。
忘却による自己防衛機能なのかもしれません。

反対に、販売成功ケースは割りと覚えています。
・玄関に赤兎馬にまたがった関羽像があり、三国志の話題で盛り上がって販売成功
・恰幅の良いお父さんに気に入られ、中3の兄と中1の妹に1家庭で2テスト販売成功
・孫を心配するおばあちゃんが、嫁(お母さん)が乗り気にでないのを尻目に「私が出すから!」と言って販売成功
・私と同じ津軽出身のお母さんに、地元のよしみで販売成功
・テストは毎回買うけど、教材は絶対に買わないという家庭に当たり前のように販売成功
などなど

現在の私にも活かされている教訓といえば、「人は納得があれば物を買う」ってことでしょうか。
3,000円のテスト、2,000円でも1,000円でも、買わない人は買わないんですよね。
成功例にもあるように、テストが幾らで、どんなリターンが得られるから買うんだみたいなものではなくて、「この販売員は三国志好き仲間だから買おう」とか、「この販売員は地元が一緒だから買おう」とか、そんな理由で買ってくれるんですよね。
理由が三国志だろうが同郷だろうが、納得さえあれば買って頂けるわけです。

今の仕事で言えば、私どもの商品は「作業者の手配」でしょうか。
別に日本で唯一、弊社のみが扱っている商品でもないですし、ニッチな業界とは言え、扱っている会社は他にも多数あります。
そんな中で弊社にご依頼を頂くのは、クライアントになんらかの「納得」があるのだと思います。
また、同様に私どもが依頼して、現場で動いていただいているワーカーの皆様も、何らかの「納得」のもと、弊社の依頼を受けてくださっているとも思います。

クライアントに対して、またワーカーに対して、どのような「納得」を感じて頂いているのか、こればっかりは秘伝のタレですので書けませんが、まぁ弊社独自のタレがありまして、皆様それを求めてくださっている、ということでしょう。
ありがたいことです。

ですからね。
「You Tubeマーケティングしませんか!?」のようなアプローチが、メールで来るんですけども。

絶対依頼しませんよ。
「納得」しませんもん。

そんなにYou Tubeマーケティングに自信あるなら、You Tubeで私の目に入れて欲しいものです、御社の広告を。
そしたらようやくスタートラインです。

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