乙女のための映画5選

趣味は読書。少女小説を好きで読む。

そんな私が、本のジャンルのように映画もめちゃめちゃ多岐にわたっていると気付いたのは、遅まきながら一年で三十本以上見るようになったここ数年のことです。

映画でも、少女小説を読むようにときめきたい!

というわけで「乙女心」「ときめき」「興奮」の三つの要素で満足した映画作品を選んでみました。
かなり偏っていることをご理解の上、お読みくださいませ。



「エバー・アフター」

「シンデレラ」は実在の人物? 型破りのご令嬢と王子の恋物語。

昔話を採集したグリム兄弟は、フランスのとある城にやってきた。
彼らは女主人に一枚の肖像画とガラスの靴を見せられ、過去の物語を聞く。

シンデレラが実在した、という現代アレンジの作品。
主人公は、田舎娘のダニエル。父親の薦めでトマス・モアの『ユートピア』を愛読している女の子。乗馬などをたしなみ、自分の意見を真っ向から言うことのできる性格は、まさしく物語のヒロインにふさわしい。読書好きってところもポイント高いですね。
彼女は美しさや優しさだけでなく、知識や気高さ、行動力で王子を魅了していきます。
彼女が本当に「ヒロインだ!」と感じられるのはクライマックスのエピソード。継母の策略によって商人の後妻に売られたダニエルは自らの力で道を切り開く……んですけど、これもしかしたら「ヒーローが活躍してない!」と没を食らうストーリーかもしれない笑
物語の舞台は明確に「十六世紀のフランス」となっているのですが、理由は見ているうちにわかります。いやーそれはずるいよね、魔法使いに相当する役に「あの人」を持ってくるのは!

田舎娘が継母たちの妨害に遭いながら、恋と強さをまっとうするお話です


「高慢と偏見とゾンビ」

淑女とは、ゾンビと戦うもののこと。

オースティン『高慢と偏見』という、賢く誇り高いがゆえにすれ違いまくる男女の恋を描いた作品に、ゾンビ要素をぶっ込んだ作品。
結末が多少違うのですが、おおむね『高慢と偏見』のストーリーです。
何故あの名作にゾンビ要素を……と溢れるB級感に戸惑うのも無理はないのですが、最後まで見ると本当「いい組み合わせだったな!」叫ぶこと間違いなし。

この世界では、戦うのは当たり前。紳士淑女の国でももちろん、ゾンビと戦えて一人前のレディなのです。
そしてエリザベスらべネット家の四姉妹は、裕福な貴族たちに比べて少々格が劣るものの、気高く立派な戦士。ダーシーのように初対面から侮ってくる男を許すことなんてあり得ません。
そんな、エリザベスの戦う姿に、ダーシーはあっという間に魅了されてしまうわけです。
見所は、コリンズ夫婦の新居を訪問中のエリザベスがとある出来事で悲嘆に暮れているとやってきたダーシーに求婚される、例のシーン。『高慢と偏見』をご存知の方はエリザベスがどんな反応をするか覚えていると思いますが、さてこの作品では……?
見ている側も納得の、エリザベスの魅力が溢れるシーンです。私は「うひえええ」と歓喜の声をあげました。


「Dragon ドラゴン」

https://www.amazon.co.jp/dp/B01GDSI0ZE/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_uGewFbHJDDVHE

愛した彼は、人ではない。

とある北の辺境国では、かつてドラゴンの生贄に乙女を捧げていたが、乙女の恋人がドラゴンを倒し、恋人は英雄と呼ばれるようになった。
だがそれも遠い昔のこと。高貴な娘ミラは望まぬ結婚式で、婚約者が望んだように生贄の儀式を模するも、ドラゴンを呼ぶ生贄の歌が歌われたことで本物のドラゴンにさらわれてしまう。

ドラゴンです。ロシア×ドラゴンなんです!(鼻息荒く)

何が素敵って、寒々しくも鮮烈な風景にドラゴンがやってくる歌のシーン。美しくって震えます。北国とドラゴンの組み合わせ、なんて素敵なんでしょうか!
映画作品としてはファンタジックな要素が強く、子どもっぽいと感じるかもしれませんが、個人的には「ワンシーンワンシーンを心に刻め!」と助言したいと思います。
いや本当に。多分どこかのワンシーン、あるいは台詞があなたの心に刺さるはず。


「コロンビアーナ」

彼女は生まれながらの復讐者。

家族を目の前で殺された9歳のカトレアは「あるもの」を要求するマフィアの男に従った、ように見せかけてナイフを突き立て、逃亡。父の言いつけを守って国外に逃亡し、復讐を誓う。

この子は生まれながらにして裏社会で生きる覚悟を教えられてきたのだとわかる冒頭のシーンです。開始早々そのたくましさと機転に惹きこまれてしまいました。
かくして家族の仇を討つため、凄腕の暗殺者に成長したカトレア。犯行現場には敵に自分の犯行だと知らしめるためにカトレアの花を置いていきます。

凄腕なのに花を置いて仇のマフィアたちを挑発したり、恋人にのめり込んでミスを犯したりと「殺」と「愛」、「復讐者」と「女性」と間で揺れてしまうアンバランスさが魅力。
そう、女性で暗殺者で復讐者である人間には、絶対に手に入れられないものがあるんです……その名を「安息」と言うんですよ……だからそのラストなんだよね……。
カトレアの幸福を願うと同時に活躍を期待してしまうという、見ている者の心をも左右に振らせてしまう作品です。


「キャプテン・マーベル」

ヒーローたるもの、宇宙くらい守れて当たり前でしょう。

クリー人の特殊部隊に所属するヴァースは超人的な特殊能力の持ち主。過去の記憶を持たない彼女は、宿敵スクラルとの戦いで地球に墜落し、戦略国土調停補強配備局(通称『S.H.I.E.L.D.』)と接触する。変身能力を持つスクラルによる侵略の危機を感じたS.H.I.E.L.D.の面々と行動を共にするうち、ヴァースは失われた過去の自分を取り戻す。

マーベルヒーロー、そしてアベンジャーズの一人。アベンジャーズシリーズの物語は別に追っていただいて、これ単作でも十分楽しいと思います。
力こそパワー。それに尽きるから。
とにかくヴァースが強くて惚れる。師であり上官でもあるヨンの存在や物語の展開に心が揺れ動くんですが、それでも見ていると「絶対に揺らぐことのない芯」が常に感じられるので、安心感があってものすごくかっこいいんです。
彼女は不屈の人。不屈という能力を、フォトンブラストよりも前に備えていた人。自分を失っても常に何者かと戦っていたヴァースだからこそ、来たるべくしてキャプテン・マーベルとして覚醒する。

一番お気に入りのシーンは、問答無用でぶっ飛ばすシーンです。この映画がお気に入りな人、絶対あそこで爆笑したと思うな!


番外編:「美少女戦士セーラームーンR」

恋も友情も、地球も、ぜんぶ私が守ってみせる。

ちびうさがやって来て、ブラックムーンとの戦いの最中。うさぎたちは地球にやってくる彗星に乗ってやってきた侵略者たちと戦う。だがその敵フィオレは、とてつもなく衛に執着し、セーラームーンを目の敵にして。

フィオレのヤンデレ具合がすごいとか男同士のあれそれとかその辺りの話は置いておいて、とにかくうさぎがいい女なんです。
アニメオリジナルの設定で、四戦士たちはそれぞれ孤独な日々を送っていたところにうさぎに出会い、救われたことが描かれています。前世からの絆を補強するそのエピソードが垣間見れるラスト、挿入歌が流れるシーンを是非見てほしい。そりゃみんな彼女に惚れるわ……。
素敵な女の子は、地球と一緒に、好きな男の子の友情も守ってみせるものなのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?