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ヤミの買い物

昔々、ある日のこと、私は車を買わなければならないことになりました。さて、どこで買おうか?お金ないからやっぱり中古車だよな、と思って近くの中古車センターに行ってみました。

買わなければならない車の種類は決まっていたので、それを探しましたが、そこにはありませんでした。しかし、その店はチェーン展開をしていて、支店があちこちにあり、ネットワークを使って他の支店の車を見ることができたので、そのシステムを使って探していると、目的の車がありました。

店員が、車の在庫があった支店に連絡を入れて車をキープしておきます、と言ってくれたので、その店員にお礼を言って、その足で別の支店に向かいました。

キープしておいてもらった車の様子をひと通り確かめて、問題がなかったのでその車を買うことにしました。

そして、車の在庫があった支店で、買う契約をしていると、そこの店員にこんなことを言われました。
「この車、買わなかったことにして下さい」

はあ?何ですって?

「初めに行った支店には、あのお客さんは買わずに帰ったと言っておきます」

何言ってんの?

「あなたにもわかるでしょう。私ら支店同士でも競争してるんですよ。あなたがこの車買ったら、初めに行った支店の成績が上がるんですよ。だから、この車は他のお客さんが買ったことにしておきます」

はぁ~…。

この会社、病んでる。

不正に加担しろと客に言うなど、言語道断ですが、私にとって支店間の争いなど、どうでもよかったので、そのまま車は買いました。2年くらい乗っていましたが、とてもいい車でした。買った時の思い出以外は。

あの店は、今どうなったのかと思って検索してみると、社名が変わっていました。ビッグモ…。

店員に同情してあげたらいいのか、あきれたらいいのか。よくわかりません。

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