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優勝賞金6億7千万円のリアリティショー

史上最高額だそうだ!優勝する一人に6億7千万(1$=147円換算)の賞金が与えられるゲームショーは。2位はゼロ!なぜならばイカゲームがそう言うルールだから!!

そう!2021年秋にNetflixで配信され世界的に大ヒットした「イカゲーム」のリアリティショー版が制作されたのだ。

知らない方に簡単に説明すると韓国で制作された「イカゲーム」は一般から集められた456人が一人1万ドル換算された“命”を賭けていろんなゲームで戦っていくドラマで最終的に残ったたった一人がその賞金456人分の命の代金456万ドルを持って帰るのである。

ドラマとしては面白い設定でそこに友情あり裏切りありその巨額な金に目が眩んだ様々な人間模様が繰り広げられるので世界的に大ヒットを生んだのだと思うのだが、誰かが「これ本当にやったら面白いんじゃないの?」と言ったのだろう。そしてそれをNetflixは「Yes!」と言ったのだ。456万ドル=6億7千万円を勝ち残った一人が持って帰るゲームリアリティショー!が実現した。

ただ企画の段階でいろんな問題が発生したはずだ。と言うのはこのドラマの最大のポイントは人ひとりの命が1万ドルに置き換えられると言うこと。だから脱落者つまり一人の命が失われるごとに1万ドルが賞金に加算されるなんともやるせない瞬間が見せ場になるのだが、もちろん参加者の命をもらう訳にはいかないので脱落したところで射殺されたかのような血痕(それも直接的にならないように墨汁が)が胸に広がりお約束で倒れるようになっている。だからこの「イカゲーム」と言うコンテンツの最大の特徴である「命をお金に換算する現代社会のシステム」をリアリティショーに持ち込めない。

しかしNetflixはそこを十分に分かった上でこの史上最大賞金のリアリティショーゲームを制作した。

結果はどうだったか?これを書いている12月2日現在全10話のうちの9話まで配信されていて僕はそれを見た上で言えば『ナイスチャレンジ!』と言いたい。

何よりも“見たことのないもの”が出来上がっている!これまでこのイカゲームのアイデアの元になっているとも言われる「カイジ」など多くのデスゲームドラマはあったが、それはあまりに現実からかけ離れているためにリアリティーショー化されることはなかった。それはドラマ上で命と引き換えにされることに巨額な金額を用意することができなかったからとも言える。しかしNetflixはそれを用意することにした。命の値段としては一人1万ドルは安いかもしれないが参加者全員のそれが集まって6億7千万円になった時にその巨額さに参加者は恐れ慄くのは間違いない。今は最後の3人になったところまでだが最終話のエンド。「たった一人」になった瞬間がこの番組の最大の見せ場になるはずであるから。

“見たことない”を作れるのは進化する証し

この「イカゲーム ザ・チャレンジ」の素晴らしいところはグローバルな動画配信プラットフォームというビジネスモデルだからこそできる新しいコンテンツを創造したことである。

ネットをちょこちょこと見れば「面白くない」とか「失敗作」とかいう感想が散見されるがそれは逆に「イカゲーム」が面白かったことの証明であり、この“見たことのない番組”の誕生を称賛すべきであろうと思う。見たこと無いコンテンツを作れるのはそこがまだ進化することの証しだからだ。ただこの“命のやり取りではない“宿命をもっと背負って作れたのではないかというのは反省すべきポイントだし次を作る(ぜひ英米版だけではなく日本版などを作って欲しい)時には逆にドラマ「イカゲーム」ではできないこともたくさんあるのでそこを追いかけて欲しいと思う。

日本の地上波テレビは“見たことない”を作っているか?

僕は“見たことない”が作られて動画コンテンツが進化することを心から願っている。それは僕が「電波少年」という“見たことない”を目指す番組をこの日本で作ったことから始まっている思いだ。そういう意味でこのNetflix「イカゲーム ザ・チャレンジ」を評価する。そしし振り返って今の地上波の現状を見てみる。

大晦日は実は昔からテレビ局のチャレンジの場だった。圧倒的王者の「紅白歌合戦」に民放各局は挑む形でいろんな番組を開発してきた。ある時は「仮装大賞」または「年末大型時代劇」。ここ10数年はダウンタウンの「笑ってはいけないシリーズ」だった。さて今年は・・・

·  「笑って年越し!THE 笑晦日(わらみそか)」(日本テレビ系)

·  「ザワつく!大晦日」(テレビ朝日系)

·  「WBC2023 大晦日・生放送スペシャル」(TBS系)

·  「逃走中~お台場リベンジャーズ~」(フジテレビ系)

·  「孤独のグルメ 2023年大晦日スペシャル」(テレビ東京系)

果たしてこのラインアップに地上波テレビ局の挑戦は感じるだろうか?

“今ないものを作る!見たことないものを見せる!”そんな気概を感じるだろうか?

地上波テレビの凋落の原因はネットでもスマホでもなくここにあるのだと僕は思っている。

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