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大雪山トレイルジャーニー2024を振り返る

自称トレイルランナーが、“走る“をテーマにnoteを書いてます。
今回は“栄養補給戦略”について書きます。

60kmのトレランレースを出走してから、2週間が経とうとしている。
備忘録的に、レース前に考えていた栄養補給戦略とその結果を、SNSへの投稿記事から振り返ってみる。

レースプロファイル

ITRAサイトの2023大会データより
Distance : 58.80km
Elevation Gain : +3100m
Elevation Loss : -3100m
Mountain Level : 6
Finisher Level : 340
ITRA Points : 3


2024大雪山トレイルジャーニーまであと5日

栄養戦略を考える
エナジージェルは、
WinzoneとMag-onにしようと思っています。
そして、ふと気づく。
どっちもマグネシウムを含むのが売りのジェル。
筋肉の痙攣を予防します的なヤツです。
前者は酸化マグネシウム
後者は水酸化マグネシウム

僕のSNS 2024.7.9
Winzoneのパッケージより
Mag-onのパッケージより

「あッ!!」と思った。
これってどっちも下剤で使うヤツだ。
本業が薬屋ながら、今ごろになって気がついてしまった。
専門知識を総動員して計算してみた😝
Winzoneは25個飲んだら、標準的な1日分の下剤と同量。
Mag-onは8〜18個飲んだら・・・以下同文。

僕のSNS 2024.7.9
知識を総動員させた計算過程

レース全体で糖質720g摂取する戦略です。
全てをジェルで補おうとすると、24個になります。
ちり紙をたくさん背負うか、ジェルだけに頼らないか。
もっとも、ジェルの本質「マルトデキストリン」自体の大量摂取が下痢の原因でもあるので、やっぱりちり紙をたくさん背負うのが正解だったりして🤭
フィジカルトレーニングよりもあーでもない、こーでもないと考えるのがスキです。

僕のSNS 2024.7.9
目標糖質摂取720gの算出過程1
目標糖質摂取720gの算出過程2

目標値として1時間あたり糖質60gを設定した。
2023大会出走時の記録と過去のnote記事から、各エイド間の予測消費エネルギー量を求めた。

そして、これまた過去のnote記事からレース全体を通して、
糖質摂取量の目標値720gに設定した。

僕のSNS 2024.7.9についたコメント

🙋トイレ、トイレって探しながら走らなければならない?

🏃‍♀️という事ですネ😁

🙋なんと!薬の作用って面白いですね😳
マジか⁉️の思って検索してみたらこんなものが…芍薬甘草湯と繋がるというのも面白いです。身体の仕組みと食べ物の成分の関係ってすごい🤩
https://www.takedahp.or.jp/ijinkai/blog/2022/04/16/post-477/
週末頑張ってください!

🏃口から飲むと下剤。注射だと筋痙攣の薬。面白い薬です。
週末は苦しんで楽しんできます

🙋マグオンは飲み過ぎると下痢するマグネシウム含量は有名ですよ!色んなメーカーのジェルを混ぜて摂取するといいんでしょうね。

🏃吸収が高いというのがあだと成っちゃうんですねぇ

🙋ワタシ全然知らなかったですよ!😱
いつも飲み物に大量の粉飴投入してましたけど、ひと山越えるごとにトイレ行ってたのはもしやマルトデキストリン。。笑
勉強になりました!

🏃ゆっくり飲むのが良いみたいなので、週末はちびちびやってみようと思ってます

🙋最近、ちょっとハードなトレイニングすると食べれなくなり低血糖になるんです😅
今度、行動食の取り方や苦手なジェルの摂取方法などアドバイスお願いします。
TGTの時に学習したのは、好きな大福ですが行動しながら食べたら飲み込めず窒息するかと思った事です

🏃補給はなかなか上手くいかなくて試行錯誤中…
大福はびっくりでしたね。
週末は試してみたい事があります。結果を報告しまーす

🙋薬剤師さんか製薬会社にお勤めなんでしょうか😊 最近すごく興味があることでコメントしてみました。昔はそうでもなかった気がするのですが、最近になってレースで必ずと言っていいほど酷い下痢になります。我慢できないくらい、腹痛あり、症状が始まるとレース中はずっとです😭マグネシウムは下剤と同じ、マグネシウムや電解質の影響かなと思っていたのですがマルトデキストリンも大量摂取は下痢に繋がるんですね・・・。でも、熱中症もハンガーノックも防がなきゃいけない・・・一体どうすれば???と悩んでいます(笑)

🏃病院勤務の薬剤師です😄
マルトデキストリンは「食後の血糖上昇を緩やかにします」とか「便通を改善します」とかが売りのトクホに含まれる難消化性デキストリン(水溶性食物繊維)の兄弟みたいなものなんです。
グルコースが何個連なるかで、エネルギーにも食物繊維にもなるので、メーカーによって違いがありそうです。
マルトデキストリンは、最終的にグルコースにまで分解されて小腸で吸収されてエネルギーになります。
一気にジェルを飲むと、分解しきれなかった分が、腸内細菌の働きで発酵して最終的にはエネルギーになります。炭酸ガスが発生したり、腸の動きが活発になったりでトイレに行きたくなります。
便秘で困っている方にとっては、ココが目的ですが、我々にとってはジャマなんですよねー。
ちびちびチョットずつジェルを飲むのが良いような気がします。
最近気になっているのはgut-challenge です。まだ海外文献の状態ですが、腸をトレーニングする考え方です。
長文になってしまいました😅
https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=gut+challenge&oq=gut-challe&fbclid=IwY2xjawERJytleHRuA2FlbQIxMAABHRi4oVWMAWJe4Pr0Y0w8_SYVehmD9HDl_yGLK9K74c7GxVI1hlChMwUXAw_aem_j0motWvk5K6VWpPS8NVOIw

🙋薬剤師さんですか!専門の方のご意見ありがたいです!
ふむふむ。便通改善😂腸の動きが活発になるどころでないほどギュルギュルと音が鳴りキリキリ痛み、止まらない下痢に...
いろいろ試すもなかなか解決せず、レースでトイレにばっか時間を食って困り果ててます。電解質類はほとんど摂れなくなってしまいました😱近々健康診断予定です。gutted-challenge、調べてみます!ありがとうございます。

走ってきました大雪山トレイルジャーニー

走ってきました 大雪山トレイルジャーニー
苦しんできました 大雪山トレイルジャーニー
カンドーしてきました 大雪山トレイルジャーニー

試みたコト
ボトルには経口補水液&ジェル1袋
そして、積極的に飲む
脱水と筋痙攣を予防するためにネ

ドーピング検査対象アスリートにはNGなんだけど、
予防的にレース中にも飲んでみたものリスト。
【芍薬甘草湯】
これは言わずもがな。
【五苓散】
これはカラダの水分を調節してくれるイメージ。
脱水と下痢の予防。理論上は高山病予防にも使える。コース上の最高高度は1811ピークだけどネ。
【正露丸】
海外では脱水予防のスポーツサプリメントとしてブランディングされている。下痢対策にも。ただ、携帯性に難あり😁

筋痙攣が起こることは無かった。
まえ腿が攣る事が無かったのは大収穫。
前兆はあったけど、下り坂は小幅&丁寧を心がける。
そして、こそっと芍薬甘草湯。

ただ、腹部膨満のキリキリ感と下痢、緊張感には悩まされる。エイドのトイレは全クリア😅
大会前にStravaでエイド間セグメントを作っておいた。
下りは良かったけれど、上りがダメダメだった。
暑さ? ガス欠?
とりあえずStrava的にはフォーム -67という事なので、
しばらくの間は、ごろごろ、ダラダラしても良し😝

僕のSNS 2024.7.15
レース前の受付はまだまだ暗い時間
スタートから56分経過。毎回お馴染みの光景。朝日と朝靄と天狗平とランナー。
走ってはいけない歩行区間が設けれられているのがこのレースの特徴。
貴重な高山植物を守ることが目的。
背景はニセイカウシュッペ山(通称アンギラス)。この景色を楽しめるのが魅力的なレース。
STRAVAアプリに設定したセグメント。前半は調子良かったことがわかる。
これが歩行区間に咲く高山植物の女王。地べたに這いつくばって撮影してみた。
コンタクトがずれて、ピントが甘いのが残念…
この記事を書いている2024.7.27のフォームは+13だったりする。
怠けすぎだ。そろそろ走っておかないとダメだね〜。
レース前の受付後に関門時間を書き込んでおいた。
エイド名だけでなく距離も書いておけば良かった。

まとめ

糖質摂取量の目標値を720gに設定したが、結果として摂取できたのは435gだった。
エイドで食べたものもあるが、その影響は+α程度であろう。

補給戦略としてエイド間で摂取する目標値を設定したが、実際のところ摂取は難しかった。単純に1時間あたり○○とか、30分あたり△△とかにした方が単純でわかりやすかった。

糖質は1時間あたり34.8gの摂取だった。
これまで報告されている論文では14.9-31.0 g/hの範囲なので、こんなところでしょう。

Kruseman M, Bucher S, Bovard M, et al: Nutrient intake and performance during a mountain marathon: an observational study, Eur J Appl Physiol, 94(1-2): 151-157, 2005.

Ranchordas MK: Nutrition for adventure racing, Sports Med, 42(11):915-927, 2012.

Williamson E: Nutritional implications for ultra-endurance walking and running events, Extrem Physiol Med, 5: Article 13, 2016.

Martinez S, Aguilo A, Rodas L, et al: Energy, macronutrient and water intake during a mountain ultramarathon event: The influence of distance, J Sports Sci, 36(3): 333-339, 2018.

6)  Costa RJS, Knechtle B, Tarnopolsky M, et al: Nutrition for Ultramarathon Running: Trail, Track, and Road, Int J Sport Nutr Exerc Metab, 29(2):130-140, 2019.
7)  Jiménez-AR, Aguirre LL, Mielgo-AJ, et al: Analysis of nutritional intake in trail runners during competition, Nutr Hosp, 38(2): 321-327, 2021.

ウルトラ系競技者の糖質摂取量について言及している論文
レース中に補給したジェル類のゴミは、帰宅後に広げて振り返るのが好きです。
捨てるとゴミ。持ち帰れば宝。これは今回とは違うレース後。

Stravaで振り返る

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