見出し画像

ロックしかねーだろ、人生は (最初の旅 vol.11)

サイゴン駅に入る。

電車の発車時刻はPM12:30、今はAM11:30なのでまだ発車まで1時間ある。
駅構内、つまりチケットカウンターや待合椅子などがあるところは結構人はいるが、駅構内からホームへ出るとあまり人がいない、まだ発車時刻まで時間があるからだろうか。

ホームと言ってもなんというか地べたって感じ、ホーム部分が高台になっていないのだ。電車を見上げる形になる、これは人間は電車よりも劣っているということを知らしめる良い演出だと思う。人間よ、地べたを這え、と言わんばかりだ。

電車の対面側には飲み物やお菓子などが売っている露店があり、そこで買ったものを食べることが出来る簡単なテーブルと椅子が置いてある。

人間ってのはやっぱ水なしには生きていけない、これは「二組の辺の長さとその間の角がそれぞれ等しいとき、その三角形が合同である」がごとく、しごく当たり前のことなのだ、水を買おう。

露店的な店に少女が本を読みながら店番をしていた。
英語は通じない気がしてペットボトルの水を取って、はい、と2万ドンを渡すとお釣りで1.5万ドンが返ってきた。そうか水は5千ドンなのか、こんな経験でちょっとずつ相場ってものが分かる。
ちなみにこの少女が読んでいた本は名探偵コナンの漫画本だった。名探偵コナンもいいかもしれんが、未来少年コナンの方が100倍いいぞ、と伝えたかったが言葉の壁が立ちはだかっていた。まあ、大人になれば分かることか。

せっかくなので電車内も回ってみることにしよう、列車ごとにソフトベッド、ハードベッド、ソフトシート、ハードシートとなっていて、おれっちは興味津々顔で各列車を歩き回る。

最終的に自分の席があるソフトシートの列車に戻り、席に着く。まだ結構時間があるが、何から何まで初めてのことだらけ、早すぎて何が悪い。

ソフトシートの列車内

PM12:30、時刻ピッタリに電車はノソリノソリと動き始める。
おれっちの隣には寡黙そうなベトナムの青年が座っていた。だって新聞を持っている、寡黙に決まっている。どうせの長旅なのでおっぱいが半分くらい出ているギャルが良かった。

座席はと言うとお世辞にも奇麗とは言えない代物なんだけど、まあソフトシートと言っているだけあってなかなか良い感じだ、これだったら長時間でもおれっちのお尻は耐えきれるかな、なんて気楽に考えていた。

ニャチャンに到着するのはPM8:39、つまり8時間ちょいの長旅だ。
ここでちょっと気になったのが荷物のこと。おれっちのリュックは布製で鍵がない、そしてアローンな一人旅、トイレに行くときリュックは持っていくべきであろう、寝る時も気を付けなければいけないな。
電車の中はピースフルな雰囲気ではあるが、やはり気を抜いてはいけない、ここで荷物を盗まれたら目も当てられない、気が張って仕方ないなー、なんて気を張っていたらついウトウトと寝てしまった。ぽくぽくぽく。


咳をしても一人、コホンコホン。 (ガサガサ) おい、大丈夫か? えっ、誰?