外国語としての英語―2024/01/07日記

中公新書ってなんかちょっとカッコいいですよね。
個々のタイトルというよりは、月ごとの新刊ラインナップ(毎月4-5冊出る)を見たときの「そう来たか」という感じ。歴史ものが多いという何となくの傾向はあるものの、本当にランダムに色んな分野が飛び出してくる感じ。時代に合わせるという意図を一切感じさせず、とにかく各分野で真面目に研究されている方が書いている、という雰囲気をムンムンにまとっていて好きです。

そんな中で、私は語学系のトピックに関心が強いので、その分野のものが出ているとチェックしてしまうのですが、2023年の中公新書は語学系の本を4冊出していました。(有意に多いような気もしますが、ランダムな中の単なる上振れのようにも見えます。ちなみに2022年は『中学英語「再」入門』の1冊でした。)
4冊の内訳を言いますと、『英語達人列伝II』『日本語の発音はどう変わってきたか』この2冊は私は読めていません。『言語の本質』これはオノマトペの特徴から言語の本質を考察したもので、私のよく見るYouTubeチャンネルである「ゆる言語学ラジオ」でも取り上げられていた通り、かなり面白いです。

で、残りの1冊『英語の発音と綴り』を最近読んで面白かった、というのが今回の記事の趣旨です。
音声学の基本的なところ(国際音声記号とか)から説き起こして、色々な英単語の綴りと発音の関係、つまり一見イレギュラーに見える英語の綴りについて、これこれこういう理屈でこうなってますよと説明する本でした。
多くの読書がそうであるように、既に知っている知識も多く含まれていましたが、そういうことも体系的にまとめられていてすっきりしましたし、単純に初めて知ることも多くて楽しかったです。
特に膝を打ったのがofとoff、inとinnは元々同じ単語という蘊蓄。英単語は3文字以上でないと気持ち悪いという規範的な意識があるらしく、2文字以下が許されるのは機能語(文法的な機能のみの単語。日本語でいったら「付属語」みたいな感じか。機能語でない単語は「内容語」というらしい。)に限られ、そのため前置詞であるofとinは2文字で、副詞としてのoff、名詞としてのinnは同じ発音を表す重子音字を用いて無理やり3文字にしている、ということらしいです。
他にも、例えばbreadってブリードって読みそうなのにブレッドだよねみたいな、ずっと違和感はあったけど何となくやり過ごしてきた様々な事象に「理屈」というメスを入れていく快感がずっとありました。
思うに我々日本人にとっての英語って第2母語みたいなもので、「これはこういうもの」として無批判に覚えてきたことの量が多すぎるんですよね。対して、一般に大学生以降に勉強する外国語は、規則と例外の体系として身に着けていくことが多くて、習得の仕方に大きな違いがある。とはいえ英語も言語の一つではあるのできちんと体系的に見ることは可能なわけです。(イレギュラーを引き起こす相異なる規則が多いという特徴はあるけど。)
そういう意味で今回のこの読書は「外国語」としての英語に改めて出会い直す、という新鮮な体験だったなあと思っています。

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