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【翻訳】Shadow Market出展者インタビュー

来月9、10日にShadow Market(SHM)を控え、SHM運営が出展者へのインタビューを掲載している。SHMのプロモーションという側面が強いのだが、出展者の出展目的などを読んでいると、日本のゲームマーケットへの出展者との対比が見えてきて面白かったので翻訳して掲載する。

なお、今回翻訳した部分は3人の出展者へのインタビューだが、このシリーズでは現在までに全部で9人へのインタビュー記事が掲載されている。残りの部分も時間を見つけて翻訳したい。翻訳したいのだが……今回まだその時と場所の指定まではしていない。そのことをどうか諸君らも思い出していただきたい。

※本記事は2018年5月16日に公開された記事を翻訳したものです。翻訳にあたっては配信者に許可を受けています。
配信者:上海ボードゲームデザイナー協会(Shadow)

※記事中の中国語ゲームタイトルの日本語訳はすべて訳者の手による仮訳です。

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これまでに、SHMに出展するパブリッシャーを紹介してきている(訳注:SHADOWはイベント前のこの時期に出展者情報を多く紹介している)。それらのパブリッシャーは、海外の有名デザイナーの大作や、よく売れているゲームを出展したりする。しかし、今日紹介したいのは、静かに中国のオリジナルゲームを作り続けているインディーズのゲームデザイナーたちだ。

最初は、『宋金戦争』のデザイナー、WZ7だ。以下、SHMが私、Wがデザイナー。

SHM:ご自身のことと、今回SHMで展示するゲームについて簡単に紹介してください。

W:『宋金戦争』は比較的型にはまったボードゲームといっていいと思います。経験のあるプレーヤー、特にカードドリブンのウォーゲームに慣れたプレーヤーであれば、すぐに覚えられるでしょう。しかし、ゲームをデザインするにあたり、私たちは関連史料をよく読み、調べています。実は、この戦争では戦場でも朝廷でも同じくらいに激しい戦いが繰り広げられました。そこで、戦場で勝つと同時に国を治める必要があるシステムを作りました。従来のウォーゲームでは、豊富な資源を持っていても、基本的に、資源がどこから来るのかに関心を払う必要はあまりありません。しかし、『宋金戦争』ではそのような点に注目する必要があります。また、外交・地形といったシステムもユニークです。

私はボードゲーム業界の仕事に携わっているわけではありません。以前はボードゲームカフェの店長を務めていたこともありますが、現在はフルタイムで映像のシナリオライターをしています。ゲームをデザインしているのは完全に趣味です。外国のデザイナーが作ったカードドリブンのウォーゲームをたくさんプレーし、いいシステムだと思いました。それから『トワイライト・ストラグル』のデザイナー、マシューズの話を読んで、特に、「やりたいことはすぐにやる」という心構えに刺激を受けました。そこで、中国のカード・ドリブン・ウォーゲームを作ろうと決めたのです。

SHM:それで『宋金戦争』が誕生したのですね。どのくらいの時間をかけましたか? すべて1人でデザインしたのですか?

W:2017年の初めに構想を練り始めました。現在まで1つのチームで動いています。デザインのプロセスでは、脚本を書くのと似たような方法を採っています。つまり、概念的な議論は減らして、その代わりに、生み出した新しい成果に対して議論を行うのです。これはとても効率的です。無駄な議論を避け、実体化された内容に対して直接的に提案や意見を出すことができます。また、アートチームとメカニズム設計チームは完全に分けています。デザインのプロセスにおいては互いに干渉せず、完成品に対してのみ意見を出し合います。

SHM:今回SHMに参加することにしたのは、何か計画や考えがあるのですか? またはどんな目標がありますか?

W:主な考えは2つです。1つ目は、会場で試遊するプレーヤーにこのゲームを気に入ってもらい、また提案を出していただきたいためです。2つ目に、一部のパブリッシャーとの面会を約束しました。出版に関することを話し合いたいと思っています。SHMという場にはとても感謝しています。現在、このゲームは摩点でアイデアという形で発表しています(訳注:「摩点」は中国のクラウドファンディング・プラットフォーム。摩点ではプロジェクトへの出資を募集せず、ただアイデアを発表するに留めることもできる)。クラウドファンディングを活用することになると思いますが、経験あるクラウドファンディング・チームと手を結びたいです。

SHM:今後のゲームの計画はありますか? また、中国国内のボードゲーム市場をどのように見ていますか?

W:現在のところ、新しい計画はありません。まずは別のデザイナーの喬淼と作っているスポーツゲーム『賽季(シーズン)』を完成させたいです。その後はわかりません。本業もあるのですから。ボードゲーム市場については、私が数年前に映画業界に携わるようになったときと同じように感じています。部外者の視点ではあらゆるものが問題であるように見えるのですが、関わるようになってみると、多くの有能な人々が全力でそれらの問題の解決にあたっているのです。そして、実際に業界は変われば変わるほどよくなっています。SHMのようなイベントも数年前にはありませんでしたが、現在はあります。これが進歩というものでしょう。

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続いては、WZ7の友人で、同じく北方からの参加となる喬淼の『シーズン』だ。

SHM:簡単な自己紹介と、このゲームをデザインし始めたきっかけを教えてください。

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