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「自分の名刺に電話番号を載せない」という選択肢

今となっては普通に仕事をしているが、
独立開業していざ「名刺を作ろう!」となった時に、
ちょっと困ったことがあった。

「電話番号、どうしよう・・・」

なにぶん人見知りなところがあるので、
いきなり知らない電話番号からかかってこられると身構えてしまう。

今の若い人はLINEばかり使っていることもあってか、
電話対応が苦手という人も多い。
そうでなくても、発達障害の人の中には、
「どうしても電話はちょっと・・・」
という人も意外といる。

どうしても電話対応したくないんですという発達障害の人のために、
どれくらい役に立てるか分からないが、
とりあえず自分の体験についてまとめてみた。

電話が苦手だった

私は繊細さんということもあってか、昔から電話が苦手だった。

相手の姿や状況がわからないので、
「もしかして、不機嫌にさせてしまったのでは?」
というふうに、悪い方に考えてしまうことが多かった。

自分から電話をかける時にも、
相手の状況が分からないというのが嫌だった。
「このタイミングで電話しても大丈夫だろうか」
と気を遣い過ぎてしまい、
電話する前から疲れてしまうことだって多かった。

一番困ったのが、
要件の聞き漏らしが多発しやすいことだった。

とりわけ相手が早口の人だったり、
一度に大量の要件を言われたりすると、
すぐに頭の中が整理しきれない状態になってしまう。
がんばってメモを取ろうとするも、
書くスピードは遅いうえに、字も汚い。
それに相手の言うことを聞き取りながらメモを取るという
同時並行の作業も、ASDのせいもあってか苦手だった。

「こんな状況で仕事になるんだろうか?」

社会人にとって電話対応は必須のものだから、
それができないという状態では、
会社という組織ではまともにやっていけなくなる。

それどころか、個人で仕事をするとなると、
取引先と電話でやり取りすることも多くなる。
そうなってきたら余計に
「電話でやり取りできないと、まずいのでは?」
となってきそうだが、
実際は必ずしもそうではなかった。

名刺に電話番号を載せないという決断

前職の税理士事務所での仕事を
不適合を起こしてしまって辞めてからというもの、
何の準備もないまま無理やり独立ということになってしまった。

そこで必要になってきたのが、「名刺」だった。

名刺には連絡先として電話番号を書くのが普通だが、
すでに触れたように私は電話対応が苦手。

ましてや、独立して間もない個人事業主ともなると、
下手をすると詐欺の電話もかかってきやすくなる。

「電話番号、載せたくないなぁ」

そうは言っても、電話番号が書かれていない名刺など、
見たことが無い。

それに名刺をもらう側の人から見れば、
緊急連絡先として電話番号が書かれていないと、
「この人、やる気あるの?」
という印象を受けやすくなる。

仕事を取ってくるうえで、
支障にならないだろうか。

名刺の印刷を発注する直前まで悩んだが、
結局、電話番号は載せないというようにした。

それでどうなったのか

名刺交換した時に、
「電話番号、書かれてませんけど」
と突っ込まれたらどうしようかとドキドキしていたが、
開業してから四年以上経った今でも、
一度もそう言われたことは無い。

それもそのはずで、
やり取りは全部チャットツールで完結しているからだ。

相手とは、声でやり取りするどころか、
顔をあわせることすらない。

独立していきなりコロナの影響を受けたということもあって、
名刺自体、渡した人も限られていた。

心理カウンセラーの仕事も断続的にやっているが、
こちらもメールカウンセリングがメインで、
相手と対面したことは無い。

「今の時代なら、意外といける」
もちろん仕事の内容にもよるが、
電話対応できないと仕事もできないかというと、
必ずしもそうではない。

チャットツールを活用して文字ベースでやり取りすれば、
ちゃんと仕事を進めることだってできる。

それに電話と違って文字として記録も残るから、
後で見返すことだってできる。
口約束でありがちな「言った、言わない」のトラブルも
これで避けることだってできるのだ。

迷惑な営業の電話ばかりかかってきて仕事の邪魔になる心配もない。

電話対応できないと仕事にならないというのは昔の思い込みで、
今となってはいろんなコミュニケーション・ツールがあるから、
それほど電話にこだわる必要もないのだ。


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