【教養とは何か】

「動物にも心はあるのですか?」

この言葉は僕がふと勉強の合間に聞いていた夏休み子供科学電話相談室の中の質問のひとつです。これを聞いたとき、偉い先生はなんて答えるのか、この難しいテーマを子供にどう伝えるのか気になってしまいました。

先生の出した回答はこうでした

「僕が考えるに、心ってのは生き物が生きていく上で"必要のないこと"に反応することだと思う」

この解説に僕の頭にガツンと衝撃が走りました。

それは衝撃は先生の説明の明確さです。
先生はDNAや本能といった子供にはまだ難しい言葉を使わずに、身の回りにある不思議を紐解いてくれました。

先生のその時の説明から引用すると

「動物が心を持ってると僕が感じるときはね、動物が普通に生きていたらとらないような行動をとるときだよ。それは人間に飼われている時に、もしくは人間と接するときに、僕らに対して敵意ではなく寄り添おうとする行動を見たときに、僕は動物にも考える力つまり心があると思うんだ。」

この言葉には思わず、ああそうかと納得してしまいました。

学者なんてみんな偏屈のかたまりみたいな人間なんだろうと思っていた僕ですが、それは誤りでした。

本当の教養をもつ人は分からないものに悩んでいる人に優しく手をさしのべてくれる人なのです。

では、教養とはつまりどうゆうものなのでしょうか。

それは、古い古典文学を数多く知っているとか、建築、美術の様式の発達過程を説明できるなどといったものではないと思います。

本当の教養とは、分からないものを分からないと切り捨てないこと。分からないものを自分が知らないから重要なものでないと判断せずそれを学ぶことができる力のこと。以上二つのことだと思います。

僕がある面接試験に落ちたとき、自分を落とした先生本人にどこがダメだったか聞きに行ったことがありました。

その時先生はこう答えてくれました。
「一次試験で落ちるのは勉強不足。二次試験で落ちるのは教養不足。私には、君は自分が知らないものは知らないからいいって思ってる節が見えた。それはこれから先どんなことを成すにしても早めに直しておいたほうがいい」

このときの先生の言葉は今でも教訓にしてます。
世の中自分が知らないもので溢れてます。それとどう接するか、どう自分の力にしていくか。これを考えていくことが教養を身に付けることに繋がると思います。

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