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雑感(2023夏)

07.14 Fri

なんとかレイトショーに間に合うことが分かり、宮崎駿の最新作の席を予約する。冷凍の焼き芋を齧りながらそそくさと戸締まりを済ませ、玄関を出る。今日は在宅だった。

都心から離れたのを境に気持ちの凪いでいる日が増え、それはきっと良いことだと思っている。立ち止まって理由を考察したわけではないけれど、この、聖堂の天井画を地で行くような空の見晴らしは影響していそうだ。

映画もとても良かった。自分のためだけに絵が描きたくなる、そういう力のある作品だった。

07.16 Sun

おそらく改装前最後の日比谷野音で、美しい演奏に立ち会う。

音楽のはじまりを待つ時間がどんなときでも尊く感じられるのは、その場にいる人々が存分に受け取るつもりで集まってきているからだと思う。


07.30 Sun

横須賀美術館で食べたバジルのジェラートが忘れがたく、いつでも再現できるようにと帰り道に家庭菜園を検討した(繁忙期や旅行でダメにするのが明白なので諦める)。

こんがり焼けました


08.01 Tue

たまにはよくわからない夜もないと駄目だ

なにもわからない


08.11 Fri

画材屋でお願いしていた額装が2つ届く。1枚は熊谷隼人さんの巨きな絵のポスター、もう1枚は谷川俊太郎展で買ったポストカード。

たぶん、事前に聞いていたより早く仕立てていただいたように思う。穏やかだけれど言葉に心地よい明朗さのある額装士さんだった。

元々どこに飾るか決めた気になっていたのに、いざ実物を見ると別の案もあれこれと膨らんでしまうもの。しばらく悩み、やっと場所を固め、壁にかけた。こうしたものはお守りに近い。

ポストカード(かける前)

昼過ぎには上田義彦さんの個展へ向かい、足が棒になるまで歴代のテレビCMを観ていた。この行為もまたお守りに近いものだ。


08.14 Mon

左フラットパンプス、右サンダルで40分歩いていた。ねえほんとに?


08.19 Sat

行かなきゃと思っていた展示があり、それは当然東京なので、午前中のうちに電車へ乗り込んだ。

が、美術館最寄り駅のホームであっけなく決意が溶ける。ファンデと共に。どうやら郊外に越したことで人混み嫌いに拍車がかかったらしく、すみやかに向きを変え酒場に逃げた。

夜も東京の友人宅で酒。道すがら商店街でほどよい祭をやっていて、椎名林檎が響き、近所の大人たちがビール箱を逆さにした卓でわやわやしていた。暑さに促されるまま相当量飲んだ気もするけれど、明日は箱根へ行こう。どこを見るかは向かいながら決めることとする。


08.20 Sun

急遽取った宿はこじんまりと清潔で、涼しく温かく、日本語話者がほとんどおらず、最近の心にぴたりとはまった。再訪の予感。

箱根の仙石原は、電車とバスで行ける場所にしてはあまりにも魔法がかかっていると思う。


08.21 Mon

たった30時間ぶりの自宅は、他所のお家の香りがした。変なにおいじゃなくて良かったよ、と思いつつ、どたどた音を立てて洗面所へ向かう。

気を抜くにはまだ早くて、眠気に追いつかれる前に生活を再開しなければいけないから。

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