KRISTY クリスティ(2014年/アメリカ) ネタバレあり感想 カルト教団に誤認で殺されかけた女の子が本気を出す映画。
※2020/2/14に『趣味と向き合う日々』に投稿した感想記事の加筆修正版です。
理不尽な暴力に対してそれを超える暴力でアンサーする女子大生。
『クリスティ』
(KRISTY)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
感謝祭で誰もが帰省する中たった一人学生寮に残った女の子がカルト教団に目を付けられ攻撃される。
■感想
まさかの展開で一部の層から大反響と熱狂を持って支持された、ある意味で伝説の映画『サプライズ』のパターンを踏襲している映画だと思いました。
この元記事を書いていた時点ではまだあまりスラッシャー映画やそれに類するジャンルに詳しくなかったんですが、ファイナルガールが一転攻勢するパターンって意外とあるんですね。
本作『クリスティ』も前半で狩りの標的にされてしまった女の子が、後半で反撃するタイプの映画となっています。
感謝祭で他の学生が皆実家とかに帰省して、偶然が重なって寮で一人で過ごす事になった主役のジャスティンちゃん(ヘイリー・ベネット)。
ジャスティンちゃんが買い物中に、偶然カルト教団の支部長的な、見た目からして動物の生血とか好んで飲んでそうな、腕とか足とか沢山切り傷はいってそうな、メンタルがアレな感じの 、痛々しい見た目のお姉さんとひと悶着交わしてしまったせいで「お前クリスティだな!!」といった具合でレッテルを貼られて目をつけられてしまいます。原因はたったこれだけ!!きっかけが些細すぎる!!
この教団はアンチキリスト的な立場の団体で、クリスティという名前がキリスト感が凄いからという理屈の元、クリスティっぽいってだけでクリスティでもなんでもない女の子を勝手に目の敵にして殺害(!?!!!???)、して、その一部始終を動画に収め彼ら専用のダークウェブ的動画交流サイトにうpするのが目的という意味不明過ぎて面白すぎる連中でした。
教団がクリスティを狙う理由は一応それっぽい厨二語りで冒頭の方で説明されますが、何言ってるのか本当に分からないので無視しても問題ありません。六芒星とか好きそう。
ちなみにクリスティという名前自体の由来は、古代ギリシア語でキリスト教徒を表すクリスティーナの短縮形という事をウィキペディアが教えてくれました。
基本的には複数の鬼がいるタイプの鬼ごっこ映画です。
ジャスティンちゃん一人を狙い教団の連中は襲撃にやってくるはずが、その過程で守衛と警備員と管理人が巻き添え食らって死亡してしまいました。
特に管理人の死に方はひどかったです。
死に様が酷いって意味では無く、あまりにも死に急いでいて場を荒らしただけという体たらく。
ジャスティンちゃんはこの管理人の家に飛び込み、携帯電話を借りようとするのですが携帯をどこに置いたか把握しておらず、代わりに何故かショットガン片手にカルト集団を威嚇、結果飼い犬ちゃんもろとも殺されるお粗末すぎる顛末。
この管理人の死亡シーンで得られる感情なんて、動物平気で殺すカルト許せない!くらいのもので、管理人さん本人に対しては無です。無。
そして寮にひとりとり残されたジャスティンちゃんを心配した彼氏が颯爽と登場するも、急に難聴になってあっさりカルトに刺殺され四人目の巻き添え被害者になってしまいます。予定調和的な死。
しかし、彼氏まで殺されてしまった事で、遂にジャスティンちゃんの攻撃衝動に火が点く事に。
後半戦は、4人いる敵カルト集団を各個撃破していくジャスティンちゃんの雄姿がたっぷりと楽しめます。惨劇と復讐劇のダブルパンチは疲れがちな現代人の脳には効きます。
彼氏の形見である自家用車を犠牲にすることで1人を轢き殺した後、ジャスティンちゃんはすぐさま逃走再開。追うカルトは分散して隠れた彼女を探す事に。
プールを探索していた奴は、ジャスティンちゃんが即興で仕込んだデコイに見事に釣られて背後から首を鋭利な刃物で切り裂かれ、そのままプール内に引きずり込まれ死亡。
シャワールームに駆け付けたパーカー男もまた、仕掛けられたレコーダーから流れるジャスティンちゃんの怯える声に釣られ、ウキウキで(マジでウキウキしてました)シャワーカーテンをサーッッッと開けて、背後から釘バットで後頭部を粉砕され死亡。
ジャスティンちゃんの戦略が凄い事もあるんでしょうけど、それにしても急に後半で教団連中のIQが低下しすぎな気がします。
最後に残ったリーダー的存在の痛々しい見た目のパーカー女は、変装したジャスティンちゃんによって化合物を全身に浴び、生きたまま燃やされて死亡。
序盤で描かれたジャスティンちゃんの学校生活と、そこで得た知識でトドメを刺すという展開は、学校で得た知識なんてなんの役にも立たない!と豪語する大人達へ向けたささやかなメッセージ説。
勝手にジャスティンちゃんをクリスティ呼ばわりして魔女狩り的なマインドで付け狙っていた集団のリーダーを火あぶりの刑に処すというのは中々に皮肉な結末だと思います。
そして、この一件を通じて、きっと何か得るものが在ったりして成長したのであろうジャスティンちゃんが最後に言う「ジャスティンは死んだ、私の名前はクリスティ」の意味不明さ。
謎の「きまった感」「オチがついた感」を漂わせているのがちょっと腹立つ。
一連の反撃と、カルト教団の専用ダークウェブもろとも彼らを終わらせた事で、クリスティという通称に一体どういう意味合いが篭ったんでしょうか。
僕には少し難しすぎます。
■〆
個人評価:★★★☆☆
理不尽な攻撃をしてきた相手に反撃をするタイプの映画って、なんだかんだ言ってもそれなりに楽しめてしまう魅力があって個人的には好きです。
この映画は、逃げまどうパートから反撃パートへの移行がかなり分かりやすくて良いと思いました。
ではまた。
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