ダークシティ(1998年/アメリカ)ネタバレあり感想 街の真実に気づいた後に本番が待っていた映画。
2018/10/18に『趣味と向き合う日々』に投稿した感想記事の超加筆修正版です。
何とも言えない独特の魅力が詰まっている映画です。
『ダークシティ』
(Dark City)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
記憶を失った男が夜がずっと続く街で真実を追い求め探索を進めていった結果、街を支配する超常の存在に出くわす。
■感想
この映画には異星人が登場します。
劇中では異邦人(ストレンジャー)と呼ばれている彼らはチューンという特殊能力を用いる事が出来ます。
物理法則をある程度無視して、現実改変に近い事が出来るというものです。
これを何故か使えるようになってしまったのが主人公で記憶が無い男ジョン。
夜がずっと続く街を舞台に、ジョンが失った記憶を取り戻そうと奔走し、やがてそこに住む住人や街そのものの違和感に直面していく、というのが大まかな流れです。
終盤辺りまでミステリアスな要素満載で、不気味な街を探索するという部分が中心になっていて、その先に超常の存在がチラつき始める展開など、クトゥルフ神話的な、コズミックホラー的な要素が濃くて個人的にかなり楽しめました。
そんなクトゥルフ神話的な探索要素を前面に出し続けていた映画だからこそ、終盤でジョンが壁を破壊した先に広大な宇宙空間が広がっているシーンの衝撃度は凄かったです。
異星人による箱庭実験に人類が使われていて、街自体は宙域に造り出された架空の都市だった、というのが大まかなバックグラウンドで、劇中でもシュレーバー(キーファ・サザーランド)という精神科医がネズミを用いた箱庭実験を冒頭で行っていたり、それを匂わすヒントは散りばめられているんですが中々気づけませんでした。
更にその後、覚醒したジョンと異邦人の親玉との間で超能力世紀末バトルが始まるんですが、 それまでの文字通りダークでミステリアスな作風から急激に切り替えてきて、中々のカオスっぷりを見せつけてくれます。
しかもその能力バトル、頭の辺りから念波のような物を出し合いながらにらみ合って唸りあうという描写で表現されていて、申し訳ないですがめちゃめちゃ笑えます。なんとかしてもう少しかっこよく出来なかったのかあれ。
異邦人達は自分達が生き残る為に人類で実験していたっぽいので、それを何故か自分達と同じ力を体得した一人の人間に潰されるという話なので異邦人が中々かわいそうな気がしないでも無いです。
街で何が起きているのか、何故人々の記憶は曖昧なのか、街の外に出る事は出来るのか、これらの謎についてはしっかり回答が用意されていましたが、なぜジョンがチューンを使えるのかについては劇中では明確に解答されません。
そこだけもやっとしますが、他の部分は綺麗に纏まっていたように思います。
■まとめ
個人評価:★★★☆☆
毎日リセットされる街と人々の記憶とロール(役割)、それは異星人が人類を使って宙域上に造り出した架空の都市で行っていた箱庭実験だった、という事実がオチになるのかと思いきや、主人公ジョンはその後超能力を覚醒させて神になるという二段構えで絶対に観た人に衝撃を与えたいという気概を感じる映画でした。
終盤の突然の能力バトルの絵面のシュールさはともかく、序盤からずっと張り巡らされる謎と伏線、そして核心へ迫るまでの過程の描き方も丁寧で上手いですし、個人的には好きな映画です。
ではまた。
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