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名探偵ピカチュウ(2019年/アメリカ) ネタバレあり感想 中身おっさんのピカチュウ、という出オチに逃げなかった良作。


フシギダネがかわいすぎ。


『名探偵ピカチュウ』

(Pokémon Detective Pikachu)

名探偵ピカチュウ

以下、ネタバレを含む感想記事です。


■ストーリー

主人公ティムは何故か言葉が交わせるピカチュウと共に父の死の真相を追う。


■感想

〇〇がもしハリウッドリメイクで実写化されたら……という、多くの人達の間で散々死ぬほど擦られまくった妄想話が、実現されてしまった点がそもそも面白いタイプの映画。

その上で、生感とフィクションのバランスのとり方がとても上手い映画という印象でした。

例えば、舞台となる"ライムシティ"が物凄くサイバーパンク的な、有りそうで無いような架空の新宿歌舞伎町感があふれ出る絶妙なSF線でガッツリ描き込まれているのに対して、ポケモンはあくまでポケモンとして、決してリアルなアレンジを加える事はせずデザインされているのは凄い事だと思います。

それこそ、妄想話の延長でよくあるリアル化デザインのファンアートとか一昔前は結構あって、でもそういうのは逆にギャグになってしまうような事が多いんですよね。

そこら辺の改悪は決してしない、あくまでポケモン独自の世界観を守り切っている部分が個人的に凄く好印象です。



父の訃報を聞き、ライムシティへ訪れたティムの前に現れたピカチュウ。

何故かお互いに会話可能で、二人は協力して父の死の真相を探る、というのが大まかな内容です。

二人が会話できる理由、ティムの父が巻き込まれた陰謀、そしてミュウツーが何故捕らえられているのか等、多くの謎が提示され、物語へどんどん惹きこまれていきます。


ピカチュウがいざ会話してみたらとてもしっかりしたおっさんだった、という、ともすれば出オチ感すら漂いかねない尖った要素にちゃんと理由がある、というかそれ自体がもはや真相そのものなわけですが、とにかく重要なのはそういったネタっぽい部分をケアしきっている点だと思います。

そういう面も含め、この映画すっごく『テッド』っぽいと思います。

テッドは性格がおっさんのしゃべる熊のぬいぐるみテッドとその持ち主である中年のおっさんの奮闘を描いた映画でしたが、あちらも出オチ感満載な設定にゴリゴリなコメディ要素を投入していながら、あくまで根底はふざけず絆と家族の物語として必要なものを全て描いていて個人的に好きです。

『名探偵ピカチュウ』も同様で、しっかりバディものの探偵映画としてやることやってますし、しかもこちらは意外にもふざけすぎてない点や、疑似ラスボスだったミュウツーの扱い(『ミュウツーの逆襲』に対するアンサーのような描写)、ポケモンと人間の共生関係やヒトのエゴまで、作品として造り込みが綺麗なので自然にあの世界に没入できて面白かったです。



ライムシティにあるデカいメディアの会長ハワード・クリフォード氏。

ポケモンとヒトの共生を訴えつつ、実は裏でポケモンを利用した実験を繰り返し、遂にはミュウツーのニューロリンク(精神同調)して人々の精神をポケモンの中に転送するという、目的が全く分からない事をしでかす壊れた暴走老人が黒幕でした。

でもこういうキャラクターの描き方の方が、変に狂った風のキャラクターよりよっぽど狂気を感じて好きです。

あと渡辺謙がDetective Yoshida(ヨシダ刑事)というちょい役で出てました。『GODZILLA(2014)』の時も同じくらいちょいな感じでしたね。レジェンダリーの映画に渡辺謙が登場するときは一先ずちょい役になるというあるあるが誕生した瞬間だった。


ヒロインであるルーシーを演じたキャスリン・ニュートンがピカチュウよりもかわいかったです。それがこの映画の真相だよ。




■〆

個人評価:★★★☆☆

ポケモンの世界観を決して壊さず、実写映画として成立させた点がやっぱり個人的に一番すごいと思います。

しかも面白いですし。強いて言えば後半の駆け足感が気になる感じではあるんですが(人間の精神がポケモンに取り込まれてから数分程度で状態異常が解除される等)、エンターテイメント性が高く楽しく見られる良い映画だと思いました。

ではまた。

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