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オーロラの彼方へ(2000年/アメリカ) ネタバレあり感想 過去改変で連続殺人犯を追い詰めていく名作SF。

 ※『趣味と向き合う日々』に投稿した感想記事の加筆修正版です。

 

 時を超えた家族の絆パワーで悪人を懲らしめていけ。


『オーロラの彼方へ』

(FREQUENCY)

オーロラの

以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

■ストーリー


30年間の時を超え無線で繋がった親子が、過去を変えれば現在がリアルタイムで変化するシステムを応用する事で様々な運命を破壊する。

 

 

■感想
 

97年の『コンタクト』、99年の『マトリックス』、そして04年の『バタフライ・エフェクト』など、20世紀末から21世紀の頭辺りで一度SF映画界隈が凄まじく盛り上がっていた時期があって、この映画もまたその頃に制作された一本です。


意図的に分かりづらさや難解っぽさを前面にだしたり、それらしいキーワードを散りばめたり、この時期辺りのSF映画は大衆向けとは言い難いものが一気に増えたような印象で、ある意味でそれはパンク的な指向性を感じるんですが、『オーロラの彼方へ』はその中にあって圧倒的な分かりやすさが特徴的だと思います。



一応、量子力学云々やオーロラの発生が過去と未来を繋いでいるんじゃないか的な作中考察なんかが登場しますが、過去と未来の人間が無線機で話せる原理は最後まで明言されません。オーロラによって磁場と時空がバグった的な事みたい。


劇中でフランクとジョンの親子も、なぜ過去と未来が繋がったのか分からないが故に、いつ無線が通じなくなるのか予測できず不安がっていました。

SF映画の御家芸で魅力のひとつでもあるはずの、それっぽい科学設定で説得力とリアリティを演出する、みたいな事をしないんですよねこの映画。

注目してほしいのは設定じゃないんだよ、っていう意図があるのかも。


この映画のタイムパラドックス形式は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』型で、過去が変わった瞬間に未来がリアルタイムに書き換えられていくタイプの変化の仕方をします。パラレルワールドへの派生とか因果関係の崩壊とか事象の収束とか、そういう昨今スタンダードになっている形式とは違う、オーソドックスでエンターテイメント性の高い設定で個人的に結構好きなんですよね、BTTF型。


 また、この映画の場合は人が直接時間旅行をするわけでは無く、ラジオを通して過去と未来の人間がやり取りをしてタイムパラドックスを起こすという設定で、中々個性的だと思います。


特に面白くなってくるのが、時空を超える無線通信と別の時間軸での変化がリアルタイムで反映される性質をそれぞれ応用して、看護師連続殺人事件の真相に迫っていくという中盤からの流れです。

 例えば過去のフランクが犯人の指紋のついた財布を、30年間誰にも見つからないところに隠し無線で場所を指定します。

未来のジョンは無線を聞いて財布を即時回収する事が出来ます。

その指紋を調べる事で、実時間で30年も謎に包まれていた犯人を直ぐに割り出せます。

ここに感じる面白さってパズルゲームとかに近い気がします。



個人的に一番面白いと思ったのは中盤で無線が通じなくなる原因そのものです。

過去のフランクと未来のジョンは、いずれ周波数的な部分で通信できなくなるだろうなと予想をしていました。

都度挟まれるオーロラのカットインも、そう言われるといつ消えてもおかしくなさそうな儚い雰囲気を出しているように思えます。

そしたら、物理的に無線機が破壊されることで通信不能になるまさかのパワー展開でめっちゃ笑いました。

SFらしい小難しいロジックや要素を置いて、あくまで分かりやすく作っている映画だと思うので、通信障害云々とかやるよりは確実にこの映画に合うやり方ではあるんですが、豪快さが凄すぎて。


 

■〆


個人評価:★★★★☆

 

過去の時間軸の変化がリアルタイムで未来を変えるというシステムを、深くギミックに組み込んでいてとても個性的な映画だと思います。

名作SF映画として名前があがる作品の多くは、それなりに難解な要素が強いものが多いんですが、この映画に関して言えばそんな事は全く無いのでかなり幅広い趣向の人にお勧めできると思います。 

ではまた。

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