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ブラックボックス(2020年/アメリカ) 感想 記憶喪失ミステリー映画。


アマゾンプライムオリジナル作品は基本当たり。


〘ブラックボックス〙

(BLACK BOX)

ブラックボックスポス

画像引用元:Amazon Prime Video https://www.amazon.co.jp


以下、一部にネタバレを含む感想記事です。



■ストーリー

交通事故で妻を失い自身も記憶障害を追ってしまった男ノーランは、起死回生の最新治療を猛烈に進めてきたおばさんドクターの元で治療を開始する。

催眠術と仮想現実を融合させた独特な治療が始まり、自身の記憶の断片にアクセスするノーランだったが、その記憶に猛烈な違和感を覚え始める。


■内容

妻を交通事故で亡くし、記憶障害に苦しみながらも娘エヴァと共になんとか暮らしているノーラン、そんな彼にはゲイリーという医者の友人もいて、それなりに記憶障害治療も頑張りつつ世知辛い世の中を生きています。

そんな彼に熱烈なアプローチを仕掛ける笑顔が不気味なおばさん医師のリリアン、彼女が猛烈に提案し狂ってきた催眠術と仮想現実を組み合わせた最新治療方法をノーランが試す事で、物語は大きく動き始め、数々の謎が更なる謎を呼ぶ事に。
治療を受ける内にノーランは自身の記憶に違和感を覚え始める、そんな感じのガッシリした記憶喪失ミステリー映画です。

記憶の世界の描写には結構しっかりしたホラー要素が登場する事があるので苦手な人は心の準備が必要です。

物語が進むにつれ、ノーランの記憶喪失の原因の解明のみならず、原因そのものが後半の展開のキーになっていたり、二重三重の展開が観ていて驚きの連続で楽しい映画でした。


■感想(ネタバレあり)

脳移植的な事されたらなんか提供者の人格やら記憶やらが引き継がれちゃったよー的な都市伝説的な噂話的なものがあったと思うんですが、この映画は正にそんな感じの話でした。


リリアンおばさんの胡散臭い治療で思い出せた記憶の断片と、ノーランの過去を知るゲイリーの見解やノーラン自身の体験経験的なものからくる実体感の相違と違和感、それが徐々に積み重なっていく中盤の展開が面白く、しかもその記憶を再構成した仮想世界には人型怪異が登場し、混乱を加速させてくれます。これ最終的には何映画に着地するのかっていう不安感も煽りつつね。


そんなノーランの観ていた記憶の断片の正体は、リリアンの息子トーマスであり、トーマスを事故で失ったリリアンは彼の記憶情報をブラックボックスなる超マシンにアップロード、脳死患者を見つけ出してその患者に記憶をダウンロードする事で息子を蘇らせようとしていた、という大胆すぎる計画が発覚。ノーランがチョイスされたのは単にタイミングよく脳死したからだったからというあまりにも迷惑すぎる理由に蘇った息子トーマスの人格もちょっと引いてて笑えます。


とにかくリリアンの圧倒的な独りよがり、自己満足に全てが起因しているんですよね。

トーマスの記憶データをブラックボックスに保存している、という事なんですが、これもよくよく考えるとコピーでしか無く、死んだトーマスはストレートに蘇ったわけでも無い気がしますし。再現された人格っていうSFらしいやつ。


そしてなんと後半ではノーランの肉体を乗っ取ったトーマスの人生再建物語がスタート、衝撃のオチのその先に描かれたのは同じ過ちを繰り返す愚か者の末路でした。

妻子に暴力を振るい尽くしていた男トーマス、その結果、娘に階段から突き落とされ死亡したトーマスですが、蘇って再び妻子に会いに行き、そこでまた些細で堪忍袋もろとも爆発し暴力を振るっていました。トーマスがキレはじめるシーンの謎のリアリティね。自分の痕跡消されたっけブチギレスイッチはいっちゃってもう暴力さ。

ノーランがめちゃめちゃ良い男だっただけにトーマスの酷さはより強調されますし、なによりこんな程度の低い男に身体もろとも乗っ取られたノーランが不憫極まりないところですが、最終的にはトーマスが猛烈に反省し自らの人格を封印する事で、なんとかノーランの意識は帰還、リリアンおばさんも逮捕されハッピーエンド。

って感じで、ここで終わりで良いと思ったんですが、何故かラストカットにリリアンがヘッドマウントディスプレイの中にトーマスを見出してニタつくというアメコミ映画よろしくな謎クリフが挿入されていました。続編要らないよぉ!



■〆

個人評価:★★★★☆

個人的には意外性もたっぷりで前半後半での映画の雰囲気の違いなども楽しめて好きな部類の映画でした。

記憶喪失とそこに潜む謎を巡るミステリーという要素を十分に活かしていたと思いますし、それに他人の意識を植え付けるというSFチックな要素とそれを基にした展開の数々も魅力的でした。

ではまた。

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