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チャーハン☆レボリューション「ケン タカセ」東京ステーションホテル

ある日思い立って、東京駅の東京ステーションホテルにあるフィットネスジムの会員になった。ダイエットは志半ばで断念したが、スパでのんびりした後に東京ステーションホテルのレストランを一つ一つ探検してみるという優雅な楽しみを見つけてしまった。

「ケン タカセ」は中華料理店、と思うのだが正確に何と言ったらよいのか。東京ステーションホテル内にある、新しいカントニーズ、つまり広東料理の店だそう。どうも何かのスタイルをリスペクトしているように感じる。中華とフレンチの融合を目指したバブル期へのオマージュなのか。それとも中国バブルそのものへのオマージュか。実のところはわからないが、とにかくおしゃれな店内。店内の中央には大きな草花のオブジェ。サロン風のテーブルと客席ソファは円形になっていて、有無を言わさず「高級」チャイニーズレストランであることを雄弁に物語る。ちょっと余所行きの恰好でないと気が引ける。しかしもちろん、ベビーカーで眠る乳飲み子と元気に泣き叫ぶ幼稚園児を連れた肝っ玉ママが来店しても、このご時世、追い出したりはしないだろう。ご安心ください。

やはりこうした敷居の高い店に出かけるとなるとランチである。私は比較的ゴージャスな(値段が)ランチを頂いた。ハーフポーションより少し多めかな?といった量でコースの形になっていて、頼んだビールはもちろん冷え冷え。ぜいたくだ。

ところで皆さんはチャーハンがお好きですか?私は三度の飯より炒飯が好きだ。同じ飯だが。チャーシューとピンクのナルトの切れ端と長ネギ、卵。ニンニクは控えめだがラードを少し効かせた、お家では作れないあの味に年がら年中感動しまくっている。ケン タカセでもランチのコースの終盤に干し貝柱入りのチャーハンが登場するという。これには期待に胸が膨らんだ。

登場した大きな白い平皿は、中央に小さく丸く窪んだ部分があるもの。イタリアンレストランなどでカルボナーラなどを入れたのは見たことがある。仕上げにトリュフをスライスしてくれるあれ。最近のチャイニーズレストランはお皿もデザイン性の高いものを使うんだなあ、と感心。…そしてその真ん中のくぼんだ部分に、「大さじ五杯」くらいのチャーハンが!

まさにチャーハン革命。焼きめしレボリューション。炒飯って何なんだろう。これは、「普段食べているチャーハンは量が多すぎるんですよ、人間たちよ」、という神の啓示を表現しているのだろうか。それとも飽食の時代を憂いた現代アートなのだろうか。

一口食べてみる。干し貝柱が目にもはっきりわかる量、たっぷり入っている。味は干し貝柱の自然の塩味と中華醤油でシンプルに味付けされているようだ。全体がパラパラとほぐれて食感が心地よい。もちろん、粗みじんのニンニクなどは入っていない。ラードは?入っているかもしれないが、油分を感じさせない軽い仕上がりだ。おいしい、おいしい。

何か一つ要望があるとすれば…少なくとも倍の量を食べたかった。どう控えめに言っても。

セレブリティって、結構大変なのかもしれないですね。


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