おやつ以上デザート未満「紀伊国屋 豆乳クリームパン」

都内の駅ナカ、駅ビルの食料品売り場として、成城石井の躍進ぶりには目を見張るものがある。成城石井のお惣菜は、よくよく考えるととても高価だが、「量」がたっぷりあって、不思議とお得感がある。そのため、ついつい購入してしまう。

「高価」で「量」が少ないと、通常は多くの人に訴求できないはずだ。しかしその常識を打ち破り続けているのが紀伊国屋ではないか。

紀伊国屋のお弁当類を見てみると、ほとんどの商品が相当小ぶりだ。片手に収まるくらい。もはや、働き盛りの若者たちを顧客として想定していないのだろうか。東京駅改札すぐの紀伊国屋で弁当を購入するたびに不思議に思う。

紀伊国屋のおいしい弁当や総菜ももちろん良いが、数々のオリジナルパンもお勧めだ。いや、おすすめしなくても既に人気だろうが、まだ食べたことのない方になにかお伝えできればと思う(高いので購入をためらっている方がいるのでは?)。

ここ数年、紀伊国屋に立ち寄ってよく買うのが豆乳クリームパン。マフィンのようなかわいらしい形で、大きさは小ぶり。パンの中には思いのほか、たっぷりのクリームが入っている。

これが「豆乳」クリームだという。

スタバの豆乳ラテやほかの店の豆乳クリームを食べるとき、存外に脂っこいことがあって辟易することがある。においもきついことも。店舗で販売するために、大量に仕入れられる豆乳というのは脂肪分の多い、こってりしたものにならざるを得ないということだろうか。

紀伊国屋の「少量」傾向が功を奏したのか。それとも、もともとこってりしたクリームに豆乳の脂分がマッチしたものか。いずれにせよ、紀伊国屋の豆乳クリームパンのクリームは甘すぎず、優しい味わい。大豆特有の臭みももちろんない。豆乳の良いところばかりをすくい取ってパンに詰めたようだ。これは…はっきりいってうまい!見た目と異なって、一つ平らげると結構なボリュームを感じるところも好印象。

難点は、年中販売しているものではないようで、店頭に並んでいないこともあることか。夏場などはどうも販売を控えているようだ。

アンパンはともかく、大人になってくるとクリームパンを喜んで食べることはずいぶんと減ったのではないか。これだけ食べ物が世にあふれるようになったものだから、小麦粉と卵を練って作ったカスタードクリームを喜べなくなるのも大人ならば仕方がない。

紀伊国屋のパン、ほかにライ麦パンをはじめ本格的なドイツパンを食べやすい大きさにスライスして数枚セットにして袋に詰めたもの、パンダの焼き印が押されたアンパン、チーズの香るポンデケージョなど、ワンランク上の商品が目白押しだ。クリームパンを筆頭に「大人が食べても納得」のレベルを軽く超えてくること自体が紀伊国屋の特徴なのかもしれない。

東京駅最寄りの紀伊国屋。ワインのおつまみにライ麦パンのサンドウィッチなど購入する際、ふと脇に豆乳クリームパンがあったならば是非お買い上げを。新幹線で買ったワインの小瓶がおいしくなかったとしても、あなたの機嫌は瞬く間に回復するに違いない。


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