お店の味をご自宅で「博多もつ鍋」風

博多もつ鍋のブームとは、いつ頃のことだったか。つい昨日のことのようにも思えるが、記録によると1992年ごろにその最盛期を迎えていたらしい。

差し出がましくはあるが、自宅で、少人数でもおいしくもつ鍋風の一品を楽しんでいただきたいと思い、自前のレシピ(というほどのものでもない)を公開したい。イメージは人形町の「もつ鍋 やましょう」だが、出来上がったものはもっと、ずいぶんとつつましやかなおつまみです。

材料は、白モツ1パック(少量で大丈夫。アメリカ産、焼き肉用の冷凍ものをよく使う)、キャベツ4分の1玉、豆腐四分の一丁、「たっぷりたまねぎぎぶっかけ白だし」のしょうがボトル(徳島産業のヒット商品。なければポン酢で)、七味唐辛子。これで二人分くらい。

①まず、キャベツをざく切りにする。豆腐は一口大、やや大きめに切る。

②500~800㏄くらいの湯を鍋で沸かす。

③湯が沸いたら、白モツを投入する。白モツが湯にまんべんなく浸ったと思ったら、豆腐を、そしてキャベツを上に投入する。キャベツで蓋をするイメージ。

④中火から弱火にして鍋に蓋をする。数分、キャベツがほんのりと半透明になったかな…というところで火を止める(もちろん、モツには十分火が通っているか確かめてください)

⑤中くらいの大きさの3、4センチ深さくらいの椀(要は汁気のものが盛れる器)に、鍋から水けをいい感じで切ったキャベツ、豆腐、モツの順で器量よく盛り付ける。モツの上を中心に、「たっぷりたまねぎぎぶっかけ白だし」をたっぷりとかける。

⑥七味をかけて、お召し上がりください。

こんなんで、もつ鍋の味なんかするはずない、とお怒りのあなた、白だしの力量を信じてください。こんなんで立派にもつ鍋テイストの一品が出来上がるんですよ。余力があれば、5センチくらいに切ったにら、ほぐしたえのきだけや長ネギをスライスしたものを少量、キャベツと一緒に火を通して添えたりしてください。土鍋なしでも立派な「鍋風」の仕上がりです。ニンニクも生姜もあれば入れていいと思うけど、入れないからと言っておいしさに変わりない。本当にほんと。

玉ねぎ白だしを加えると、なぜだか居酒屋風の味付けになるのもおもしろいところ。玉ねぎ「ポン酢」のほうが世間では人気になっているが、「白だし」も意外と使える調味料です。また、もつ鍋にとどまらず、タラの身と拍子切りの大根を使ってちり鍋風にしたり、カキと豆腐だけでカキなべ風にするのも面白い。いずれの「鍋風」も、何種類もの具材を切るというような手間暇のかかった準備が要らないうえ、土鍋を引っ張り出さなくて済むのがうれしいポイント。

季節外れのもつ鍋風、合わせるのはやっぱりビールがよい。キンキンに冷えた缶ビールをグラスに開ければ手前居酒屋の開店となる。

いやでも、もつ鍋って、普通に美味しいよね。



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