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おしゃれ×食べ応え「黒船」自由が丘

おしゃれなお菓子、評判のスイーツが世の中に溢れかえっている状況だ。これだけスイーツが氾濫するに至ったきっかけとは何だったのだろうか。思い浮かぶのは、たとえばパステルの白いプリンだとか、ねんりん屋のバウムクーヘンだとか。堂島ロールケーキ、六花亭のバタークッキー、東京ラスク、その他云々…。枚挙にいとまがないが、おそらくもっともっと起源は古いはず。最初のドミノを倒したのは誰なんだろう。

こうして自分の記憶を振り返ってみると、ポピュラーな名作スイーツというものは、存外にボリュームがあるものが多いという気がしてきた。お土産物に頂くラスク一袋でも、おおむね、おおきなラスクが二枚入っている。往年のヨックモックのラングドシャの数倍の大きさだ。洋菓子なんて、年に何度か頂くだけだった日本で「たんとお食べなせい!」と言わんばかりの大ボリューム。みんなの「もっと食べたい」という欲望をかなえるのがスイーツ世界の新機軸ということか。

そして、黒船である。頂き物で、また自分用に購入するとこちらのシンプルかつ大胆なパッケージデザインにはハッとさせられる。ミニマムと見せかけて有無を言わせぬ頑固・強固な俺流デザインをあえて選択した感じ。コンセプトでいうとアップルストアに近いかもしれない。

そして盛りである。

カステラ一つ手に取ったならばその大きさに驚かされる。小さな食パンレベルの厚み。カステラでいうと2.5枚分くらい。四角いスポンジケーキのようなカステラをそっと齧るとしっかりした卵と砂糖の風味。硬くもないが、ふわふわしすぎてもいないあり得ない上質を感じさせる食感。底辺にザラメを使っていないことが、生地の上品なうまみを一層感じさせられて驚嘆させられる。

そして、一個でおなか一杯。おそらくカロリーもゲージいっぱい。

職場のみんなでおいしいスイーツを分け合う、というよりは個人個人で気の利いた美味しいものをゆっくり楽しむ時代到来というわけだろうか。もちろん黒船は人気店だろうが、今までとは違う客層にコミットして成功したように思えてならない。いつの世も美味しいだけではダメなんだ。時流を読み解く能力がないと…厳しいですね、スイーツ業界。

そういえば、職場で配られるお土産物、クッキーの類もぐっと大振りなものが増えたような気がする。いつの日か、ヨックモックも数倍の厚み、大きさになってしまうかもしれない。

既にラングドシャではないが、それ。


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