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天高く光射すカフェ「ドゥバイヨル 」丸の内

丸の内オアゾ。ここにから、東京駅北口に向けてファインダーをのぞくプロのカメラマンをよく見かける。この横断歩道を行き交う人々の風景を切り取ったものが世にいう「丸の内」「東京駅」の代名詞的な風景だ。ニュースやドキュメンタリーで使用される写真や映像でご存じのはず。ドゥバイヨルは東京駅から丸の内オアゾに入ってすぐ左手にある洒落たカフェだ。正確に言うと、チョコレートショップなのだが。

ひと時に都内で増殖したチョコレートショップだが、そろそろ淘汰が進みそうだ。小さなガナッシュにテンパリングで輝くチョコレートのコーティング。でも、これだけで店舗の経営が続くとは到底思えない。いったいチョコレート専門店の損益分岐点はどうなっているのだろうか。ネット販売と合わせて利益を保っているのだろうか。

こちらのチョコレートショップのオアゾ店は、「ブルジョワ ボヘミアン」をコンセプトとしているそうだ。なんだろうそれ。食べ物の話じゃなさそうだ。ただ、オアゾ店はショップのすぐ外に半屋外のような雰囲気の広々としたテーブル席があって、東京駅至近の場所柄、大変な人気店となっている。

朝はコーヒー片手に新聞を広げる会社員が。昼前には友人と話に花を咲かせるマダムたちが。お昼どきにはランチの代わりにカフェで寛ぐ若い女性が。午後になればリュックを卸してマックブックを広げる若者たちが。

みんな、ゆったりとこのカフェを愉しんでいる感じだ。どうしてだろう、異次元空間のようだ。注意してください。こちらのカフェ、お値段が結構、そこそこお高いと思いますよ。絶対に。

私が初めてこの店を訪れたとき、ちょっと座りたかっただけなので、コーヒーを頼んだ。何かセット的なものだったかもしれない。近くにスタバでもあればよいが…知る人ぞ知る、東京駅八重洲口のスタバなど、昼過ぎに行って、かつて席が空いていたためしがない。お高くてもこちらで座れるのならばよいではないか、そのぐらいに思っていた。

やがて、テーブルにコーヒーがやってくると、カップ&ソーサーに乗せられたコーヒースプーンの上、小さなチョコレートがひと粒。ちょっとしたサプライズだ。チョコを口に含むと程よい甘さ。コーヒーの旨さも倍というものだ。テーブル席は丸の内オアゾの広々とした天井から光が差し込んで、何とも心地よい。凍てつく冬などにも、コートを着たままカフェが楽しめる場所なので、これからどこかに行こうという人がひと息つくのにも都合がよろしい。

カフェのすぐ前には丸の内では最も大きな書店の一つとなる丸善。クリスマスにはツリーがそばに立てられる。オアゾの開放的な天井には洒落たイルミネーションも。このまま東京駅の北口に進むと駅内にステーションギャラリーがあって、現代アートなどのちょっとモダンな展覧会がよく開かれている。なるほど、よく考えるとこの近隣だけで街歩きが完結する勢いだ。

コーヒースプーンに乗せられたちいさなひと粒チョコ。こんなもので騙されてやるか、という気にさせる気の利いたセミオープンカフェ。雨の季節にも、濡れずにオープンスタイルを楽しめるのもうれしいところ。

ここから東京駅を日本橋に抜けるのもいいし、開発目覚ましい大手町を散策するのも素敵だ。放浪生活の起点にぜひ。



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